【衝撃】“単一電子宇宙仮説”が示した世界の真実!科学が突き止めた究極の謎とは?

世界の真相

単一電子宇宙仮説

たまにですが、物理学者によって提唱された仮説は、どんな強烈なSF作品よりもクレイジーで、あり得ないと思われる内容となっていることがあります。しかしながら、私たちの直感や常識に反するそのような仮説の中には、最終的には正しいと実証され、世界の真実を突き止めたと同時に、科学の進歩を引き起こした偉大なものもあります。

例えば、

「光の速度は真空の中では永遠に変化しない」

「時間の流れる速度は運動状態と重力によって変わっていく」

という仮説から誕生したアインシュタインの相対性理論は、まさにその一例です。

そして今回ご紹介したい仮説は、ある意味では相対性理論よりもクレイジーで、もしそれがいつか実証されれば、それはすなわち、人類がこの宇宙の究極の真実を突き止めたことになるでしょう。そのラディカルな仮説の名前は、「単一電子宇宙仮説」です。

理論物理学者のジョン・ホイーラーはこの仮説を提唱する中で、次のような理論を展開しています。「この宇宙にある全ての電子は、実はたった1つの電子がタイムトラベルし、さまざまな位置や時間で出現しているだけだ。宇宙に数え切れないほどの電子が存在しているという見立ては、そのたった1つの電子による幻にすぎない」。一見とんでもないこの仮説ですが、時間、空間、物質、ひいては現実そのものの本質に迫ったものでもあります。今回は、“単一電子宇宙仮説”の紹介とともに、いつもとは異なった角度からこの世界の真実を突き止めていきたいと思います。ぜひ最後までお付き合いくださいね。

宇宙には電子が1つしかない

単一電子宇宙仮説を提唱したジョン・ホイーラーは、ノーベル物理学賞の受賞には至っていないものの、現代物理学に大きく貢献した偉大な物理学者の1人とされています。彼はアインシュタインの共同研究者として、統一場理論の構築に取り組み、一般相対性理論と量子重力理論でも多くの功績を残しました。また、彼は相対論的天体物理学の先駆者であり、“ブラックホール”や“ワームホール”といった名称の命名者でもあります。

ジョン・ホイーラーは物理学の知識を用いて哲学的な考察を行い、難しい現象の本質を突き止める思考実験の設計が非常に得意です。例えば、以前紹介した「二重スリット実験」に基づいて展開された思考実験は、彼が提唱したものです。

このような輝かしい実績を持つジョン・ホイーラーですが、ある日、1つの壮大なアイデアをひらめき、当時、大学院生で自身の助手を務めていたリチャード・ファインマンに電話しました。宇宙の真実を突き止めたかもしれない“単一電子宇宙仮説”は、この会話から誕生します。

ジョン・ホイーラー
ジョン・ホイーラー

ファインマン、全ての電子が同じ電荷と質量を持つ理由が分かった!

リチャード・ファインマン
リチャード・ファインマン

なぜですか?

ジョン・ホイーラー
ジョン・ホイーラー

それらは全て1つのモノだからだ!

続いてジョン・ホイーラーは自分の仮説について語り始めるのですが、皆さんにもこの理論を十分に理解していただくために、まずは前提知識として、「電子」と「陽電子」について少しお話します。

電子と陽電子

皆さんは物理の授業の中で電子について教わったと思います。物質を構成する単位として原子があり、その中には、さらに小さい粒子として、電気を持たない中性子、プラスの電気を持つ陽子とマイナスの電気を持つ電子があります。電子は中性子と陽子でできた原子核の周りを回っているような運動状態にありますが、中性子と陽子は、またさらに小さい粒子の「クォーク」で構成されています。

このように各粒子の最小の構成単位にまで遡っていくと、クォークと電子が全ての物質を構成する基本単位となります。つまり、この宇宙のほとんどの物質、星、地球、空気、生物などは、全て電子とクォークを基本単位として構成されています。

反物質

ところで、理論物理学者のポール・ディラックは1928年に、普通の物質と異なる物質、すなわち「反物質」の存在を提唱しました。反物質とは、私たちの知っている粒子と反対の電気を持つ粒子で構成されている物質のことです。普通の電子はマイナスの電気を持ち、普通の陽子はプラスの電気を持つのに対し、反物質はプラスの電気を帯びている「陽電子」と、マイナスの電気を帯びた陽子で構成されています。そして、もし「物質」と「反物質」が接触すると、接触の瞬間に両者ともに消滅すると同時に大きなエネルギーを放ちます。

ディラックがこれを提唱した当時、まだ反物質の実在は確認されていませんでしたが、今は実験と宇宙観測によって、陽電子の実在が確認されています。ただし、本来はたくさん存在するはずの反対の粒子で構成された「反物質」はほとんど発見されていません。その理由は未だに物理学における1つの大きな謎となっています。ここまでは前提知識として、「電子」と「陽電子」を簡単にお話しました。次はいよいよ「単一電子宇宙仮説」の詳細を見ていきましょう。

時間、空間そして物質

あらゆる観測結果から、全ての電子は同じ質量、同じ電荷数、同じスピンを持っていることが分かります。すなわち、特殊な手段を使わない限り、純粋な物理的性質に基づいて異なる電子を区別することはできません。この理由について、ジョン・ホイーラーは次のように考えており、これは単一電子宇宙仮説の核心となっています。

「宇宙にはたった1つの電子しか存在していない。その電子が時間と空間のあらゆるポイントで瞬間的に出現することで、我々から見ると、宇宙には電子が満ちているように見えるのだ」

このような彼の主張を深掘りしてみましょう。そのたった1つの孤独な電子が、空間的にあらゆるポイントで出現するという状況は、何となくであれば理解が及び、多少想像できそうです。

時間においてもあらゆるポイントで出現できるというのがこの仮説の興味深いところ

一方、時間においてもあらゆるポイントで出現できるというのがこの仮説の興味深いところで、同時に難解なところでもあります。

理解しやすくするために、時間を縦軸、空間を横軸とした図で「時空」を表して説明をしていきます。動いていない物体は、空間軸では変化がありませんので、時間が進むにつれて、物体の時空における運動の軌道はこのようになります。

他方、動いている物体に関してはこうなります。いずれも、どんな物体も時間においては未来という方向にしか進むことができないので、この時空図の時間軸上でも上という方向にしか進むことができません。

しかし「単一電子宇宙仮説」が考える電子は、空間のあらゆる場所へ移動できると同時に、時間においても未来と過去の2つの方向へ自由に移動できます。そして、任意の瞬間にこの世界を観測した時、このようにその瞬間には無数の電子を観測できますが、実質これらの電子は全て同一のものとなっています。

つまり、この電子は歴史と未来のあらゆる時点と、それらの瞬間にあるあらゆる空間で出現しています。先ほどもお話しましたが、電子は物質を構成する基本単位の1つです。ですので、宇宙に存在している全ての物は同じ電子を共有しており、この電子は宇宙で起きていたあらゆる出来事と、あらゆる物理反応と化学反応に参加していたことになります。

さらに、単一電子宇宙仮説は、先ほどご紹介した陽電子によって構成された反物質の存在も説明できます。電子は過去から未来へ進む際、マイナスの電気を帯びている普通の電子の性質を表し、それらで構成されるものは普通の物質になります。逆に、電子が未来から過去へ進む際には、プラスの電気を帯びた陽電子の性質を表し、反物質はこれによって構成されます。つまり根本的に言えば、反物質は物質を時間反転したものとなります。

まったくもって信じがたいこの仮説ですが、ジョン・ホイーラーから電話でこの理論を聞かされたリチャード・ファインマンは、その内容に触発され、電子と陽電子などの相互作用を記述する理論を提唱し、1965年にノーベル物理学賞を受賞しています。

なぜこんな大それた単一電子宇宙仮説を出発点として、ファインマンはノーベル物理学賞を受賞するほどの理論にまで発展させることができたのでしょうか?実はこの仮説は、世界の本質に迫ったとても重要な側面を持っているのです。この「本質」というのは、「時間」とは何か?「空間」とは何か?「物質」とは何か?というこの世界を成り立たせている概念に対する究極の疑問です。それではここから、もし「単一電子宇宙仮説」が正しいとすると、これらの究極の疑問にはどのような答えが導かれるのかを考えていきたいと思います。

時間とは

まずは時間から見ていくと、電子は未来という方向へ進むこともできれば、過去という方向にも進むこともできます。つまり、時間の方向性には対称性があることを意味します。しかし、私たちが生きるこの世界で起きている実際の現象や我々の日常の経験から捉える限り、時間の進行方向は1つしかなく、我々が体験している時間は、過去から未来への一方通行という非対称性を表しています。

この現実世界との矛盾から、単一電子宇宙仮説の主張は間違っていると言わざるを得ないように感じますが、実はそう簡単に決めつけられません。その理由として、物理学のほとんどの分野において、時間は対称性のある一方通行的なものだとは考えられていないからです。例えば、古典力学、電磁気学、相対性理論と量子力学などの分野において、物理現象を描写する様々な方程式は時間の流れる方向性と関係がありません。

つまり、過去から未来という方向でも、未来から過去という方向でも、これらの方程式は成り立つのです。ですので、物理の観点からすれば、時間が未来から過去へ移動することは何の問題もありません。ですので単一電子宇宙仮説の主張はそこまで“クレイジー”なものではないのです。それでは、さらに時間について探っていきましょう。

単一電子宇宙仮説が正しいのであれば、電子が時間軸上を前後に自由に移動することでこの世界が成り立っています。そうすると、時間が刻々と変化しているのは、本質的には電子が状態間をジャンプしているということになります。この場合、時間は離散的な単位に分割されているとも言えます。分かりやすい例えに直すと、電子の1つ1つの状態、つまり無数の分割できない非常に短い瞬間が、時間という大きな“川”を構成し、川には過去から未来への流れと、未来から過去への流れという2つの方向が存在します。この川にいる私たちが“未来へ”の1つの方向しか体験できない理由は、私たちはエントロピー増大の過程しか体感できないと考えられるからです。

2つの方向が存在する”川”の中にいる私たち

これについては、「時間は存在しない」という動画や投稿の中で詳しく語っていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

空間とは

続いて空間についても見ていきましょう。単一電子宇宙仮説が成り立つ場合、電子は同時に宇宙のあらゆる場所に現れるということになります。ただ1つの存在が、複数の場所、あらゆる場所に存在するなど、論理矛盾も甚だしいのですが、実はこれと似たような現象は既に量子力学によって実証済みです。どんな現象かと言うと、例えば、先ほど原子の内部構造を紹介した際に、「電子は原子核の周りを回っているような運動状態にある」と話しましたが、もっと厳密に把握してみたいと思います。

原子の大きさを陸上競技場とした場合、原子核のサイズはその中にいる1匹の蟻に相当します。残りの原子の中の空間には電子が存在しているのですが、その存在状態は、様々な場所に電子が同時に存在している、という状態です。

様々な場所に電子が同時に存在している

そして、とある瞬間に電子が一体どこにあるのかを観測してみると、原子核に近ければ近いほど、そこに電子が現れる確率は高く、原子核から離れるほど、そこに電子が現れる確率は0に近づいていく、という観測結果が得られています。ただし、0に近づいていくことは0とイコールではないため、とある原子の電子は、ある瞬間に100万光年先の宇宙空間で現れる可能性だってあるのです。

常識的な感覚からはかなり乖離した現象ですが、ここで理解していただきたいのは、この現象は単一電子宇宙仮説の主張の一部ではなく、既に量子力学によって実証されている物理現象だということです。単一電子宇宙仮説はあり得なさそうに聞こえるものの、いたずらに独自の理論を叫ぶものではなく、その裏にはしっかりとした理論的根拠があるのです。

これらを踏まえて空間の本質の話に戻りますが、単一電子宇宙仮説が正しい場合、電子が同時に複数の場所に出現することは、私たちが当然の認識としている「異なる場所」や「距離」といった概念をあやふやにしてしまいます。空間は本質的には、そもそも「異なる場所」という概念など存在しないかもしれません。

「異なる場所」や「距離」といった概念があやふや

我々が「異なる場所」を感じ取れている理由は、時間と似たように、空間も1つ1つの分割できない要素で構成されているからです。この思考のラインに沿って考えると、時間と空間は本質的には非常に似ており、両者とも電子が移動するための媒体だということになります。言い換えれば、時間と空間は密接に関連しているということです。

時間と空間は密接に関連している

そして偶然にも、アインシュタインの相対性理論でも、時間と空間は密接に関連しており、物体の運動状態を考える時には、時間と空間を一緒に考慮する必要があると主張しています。このように相対性理論と似たような結論に辿りついた単一電子宇宙仮説ですが、さらに興味深い結論を導くことができます。それは、もしこの電子が存在していなければ、時間も空間も存在しなくなるのではないか、という少し怖くなってくる結論です。一体それはどういう意味なのか。これこそがこの宇宙の本質に触れた内容になりますが、それを深く掘り下げる前に、まだ残されている1つのテーマ、物質の本質について見ていきましょう。

物質とは

単一電子宇宙仮説が成り立つ場合、まず言えるのは、物質の複雑さは“幻”となります。どういうことかと言うと、たった1つの電子が様々な場所に同時に出現していることが、多くの基本粒子の存在と、それらの間で様々な相互作用が起きているという“幻”を我々に見せているということです。すなわち、物質は私たちが思っているほど複雑ではなく、太陽や月、空気や水、あなたや私、これらは全て本質的に同じものとなります。

量子もつれ

先ほどお話したいくつかの考えよりもありえないと感じられるかもしれませんが、この推測にはまだもう1つの根拠があります。それは、量子力学における「量子もつれ」という現象です。量子もつれ現象は既に何回もお話しましたが、ある手法を使えば、異なる2つの粒子を量子もつれ状態にすることができます。このような状態にある2つの粒子は、一方が右に回れば、もう一方は同じ瞬間に必ず左に回るという、コインの表と裏のような状態の共有が起きます。

驚くべきことに、このような状態の共有は、2つの粒子がどれほど離れていても、瞬時に起きるのです。現在はまだこの現象のメカニズムが解明されていませんが、単一電子宇宙仮説が正しければ、説明は非常に簡単になります。先ほどお話ししたように、空間には「異なる場所」や「距離」という概念は存在しないため、我々から見て100万光年離れている2つの量子もつれ状態にある粒子は、実は最初からずっと同じ場所にあるのです。そして、その2つの粒子は本質的に同じもの、すなわち全ての物を形成しているあの孤独な電子なわけですから、同じものが同じ場所で同じ状態を持つのは、当たり前のことです。これが我々のいる現実世界では、量子もつれという現象として現れてくるのです。

ところで、単一電子宇宙仮説でもうまく説明できない謎が1つあって、それは、反物質はなぜ見つからないのか?という問題です。ジョン・ホイーラー本人によると、反物質が見つからない理由は、それらを構成する陽電子は陽子の中に隠されているからだそうです。ただし、この解釈には半分冗談も入っていると言われています。多くの物理学者はこの謎の手前で諦めてしまっていますが、それも反物質が大きな謎と言われている所以です。

この電子はどこからやってきたのか?

一般常識を何から何まで覆してしまったここまでの推測ですが、さらに究極の疑問を突き止めましょう。もしこの電子が存在しないのであれば、時間、空間と物質、つまりこの宇宙は存在しなくなるのでしょうか?物質に関しては、電子が物質を構成するための基本要素となっているので、電子が存在しないのであれば、もちろん物質も存在しなくなります。そして、先ほどの分析にあったように、時間も空間も、この電子があるからこそ存在しているものなので、この電子がなければ、時間と空間もなくなるでしょう。こうなってくると、「この電子」イコール「この宇宙」になりますが、全てを作り出しているこの電子はどこからやってきたのか?誰によって作られ、何のために作られたのか?といった疑問が浮かびます。

これらに答えるために、仮説に基づいた仮説を立てることになってしまいますが、全ての過程はロジックに従って推理しており、今までの動画とも強くリンクする部分があるので、ぜひ1つ面白い発想として楽しんでください。

真実の目の見解

このチャンネルをよく視聴する方なら、僕がシミュレーション仮説を支持していることをご存知かもしれません。シミュレーション仮説とは、「この世界は実はコンピュータのシミュレーションによる仮想現実」だという主張です。詳細については以前に動画や投稿で詳しく紹介していますが、この仮説には、1つハードルとなっている理屈があります。それは、この世界が仮想現実なら、仮想現実をシミュレートするコンピュータに必要なエネルギーと処理能力は膨大すぎて現実的ではないということです。

ただし、もし私たちのこの世界がたった1つの電子で出来上がっているのなら、そのコンピュータが必要とするエネルギーと処理能力は、今までの試算の10の80乗分の1から10の60乗分の1に収まります。そうなってくると、いかに複雑な仮想現実のシミュレーションでも、僅かなエネルギーしか必要としないということになります。さらに、仮想現実は本当の世界を真似して作られているはずなので、たった1つの電子でできた仮想現実なら、そこに生きている意識と知恵を持つ“生命体”はどうあがいても、本当の世界の全貌を暴くことはできないでしょう。

最後になりますが、元となる単一電子宇宙仮説も、それに基づいた今回の推理も、今までの動画と比べても特に発想を広げたほうだと思います。これらの発想は、理論が仮説の段階にあるからこそできたもので、ある意味、この自由な出発点が真実を探究していく旅の最も面白いところでもあります。皆さんも、まだ仮説段階に留まっている単一電子宇宙仮説に関する自分の意見をぜひシェアしてください。

コメント

  1. 堀井敏之 より:

    「単一電子宇宙仮説」この仮説は素晴らしいです。初めて「真実の目」さんで見て驚きました!目からウロコでした。これはまさに究極ですね。私の好きなSF小説家の山田正紀先生がこれを題材に「ここから先は何もない」という小説をお書きになってるんですよ!凄いです。

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