この世界はシミュレーションである確率が100%に近いと言われる理由

ミステリー

はじめに

この投稿チャンネルが好きな方でしたら、恐らく「シミュレーション仮説」という理論を聞いたことがあるかと思います。この理論は次のような仮説を持っています。私たちがいるこの世界は全て仮想現実である。つまりこの世界は、何らかのシミュレーションによって作られた本当の現実ではないバーチャル・リアリティということです。

一見とんでもないオカルト的な理論ですが、同じく耳を疑う「地球平面説」などの理論と違って、シミュレーション仮説は、意外と多くの科学者や哲学者たちに支持されています。僕自身も、シミュレーション仮説は高い確率で正しいと思っています。

現在インターネット上にあるほとんどのシミュレーション仮説に関する説明は、ロジックに基づいたものが少なく、拡大解釈や間違った内容が多く含まれています。そのせいで、シミュレーション仮説がどんどん都市伝説のように聞こえてきてしまっている現状があります。僕はどちらかというと都市伝説が好きなほうですが、シミュレーション仮説に関しては、都市伝説ではなく、ロジックに従って根拠を持つしっかりとした理論です。今回の動画は、シミュレーション仮説は一体どのような根拠を持っていて、なぜ多くの科学者によって支持され、なぜこの世界が仮想現実である確率が高いのかについて、紹介していきたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

シミュレーション仮説とは

古代のシミュレーション仮説

実はシミュレーション仮説は、2000年以上前に既に提唱されていました。古代ギリシャの哲学者であるプラトンが、次のような思考実験を考えました。

プラトンが考えた思考実験

ある囚人たちを洞窟に閉じ込め、一生の間、洞窟の壁に映った看守たちの動く影しか見ることが許されません。そうすると、囚人は自然に看守たちの動く影を生物だと考えてしまい、物についても、影がその物の形だと思ってしまいます。囚人たちにとって、この世界は影でできたもので、彼らは世界の本当の姿を永遠に知ることができません。

現実と幻を区別できない:「胡蝶の夢」という主張

プラトンの約600年後、古代中国の思想家である「荘子(そうし)」も、同じような考え方を持っています。荘子はある日、自分が蝶になり、ひらひらと飛んでいた夢を見ました。目が覚めた後、荘子は長い間考え込みました。はたしてさっき蝶になったのは、ただの夢なのか、それとも実は自分は蝶であり、今のこの瞬間は蝶が見ている夢なのか?荘子はこのできごとで、人間は現実と幻を区別できないと主張するようになり、この主張がそのうち「胡蝶の夢」として、広く知られていました。

現代のシミュレーション仮説

現代に入ってから、シミュレーション仮説が世の中へ広がったのは、2016年の、イーロン・マスクの次の発言です。

「科学技術が十分に発達した未来では、コンピュータゲームは現実世界と区別が付かなくなるだろう。仮にその未来を人類が今と比べあまり進化していない10000万年後としよう。今のコンピュータゲームはどんどん現実世界に近づいてきている、ゲームは様々なゲーム機やPCで遊べる、そのような≪媒体は無数存在する。これらのことをベースに考えると、私たちが本当の現実にいる確率は10億分の1だと思う」

多くの人はこの発言に驚かされながらも、なぜコンピュータゲームが発達したら、私たちが仮想現実の中にいることになるのか?という疑問を持ちます。イーロン・マスクはその時に長い発言ができなかったため、確かに少し理解しにくい表現でした。

しかし、オックスフォード大学のニック・ボストロム教授のシミュレーション仮説に関する説明が、非常に論理的で分かりやすいものでした。

ニック教授が「Are We Living in a Computer Simulation?」という論文を発表し、シミュレーション仮説の可能性について論理的に考察しました。この論文によると、コンピュータ技術が十分に発達すると、私たちがいるこの世界もしくは宇宙を、コンピュータによってシミュレートすることが可能になります。その世界にいる住民たちは、意識を持つこともできます。従って、私たちはそのようなシミュレーションの世界にいる可能性が極めて高いということです。イーロン・マスクとニック教授が、一体どんな理屈でシミュレーション仮説が正しいと考えているのか、今から詳しく説明します。

シミュレーション仮説のロジック

まず、本当の現実世界に知的生命体が誕生したとします。彼らは数十億年の進化と発展によって、高度な科学技術を手に入れました。ある時、彼らはコンピュータで、自分たちがいるこの世界をシミュレートできるかについて試みました。シミュレーションには大きく二つの要素が必要です。

  • 現実世界と同じ物理法則を作ること
  • 現実世界の生命体と同じレベルの意識を持つ住民を作ること

仮想現実に現実世界と同じ物理法則を付与するのは、プログラミングで簡単に実現できます。今の私たちが保有しているレベルの科学技術でも、それを実現できています。難しいのは、シミュレーションの世界にいる住民たちに意識を持たせることです。高度な技術によってそれを実現でき、仮想現実にいる住民が、本当の現実にいる生命体と同じく意識を持つようになった時点で、シミュレーションが成功することになります。

この仮想現実は本当の世界と変わらない物理法則を持っていて、住民たちも本当の世界の生命体と同じく意識を持っています。

しかし、この仮想現実にいる住民たちは、自分達が仮想現実の中で生きているというのはまだ分かっていません。

そしてこの仮想現実において、長い年月の進化と発展によって、仮想現実の住民たちもいつかの時点でコンピュータ技術を使って仮想現実をシミュレートするかもしれません。それが成功した時点で、仮想現実の中にある仮想現実が誕生します。本当の現実世界にいる文明が作った仮想現実がレイヤー1だとすると、この仮想現実の中にある仮想現実が、レイヤー2になります。同じく、レイヤー2にいる文明も仮想現実を作るかもしれません。

無数に存在するか仮想現実

このように、仮想現実の世界が一つずつ誕生していき、結果無数の仮想現実が存在することになります。これらの仮想現実は、しっかりとした物理法則を持っており、中の住民たちも意識を持っていることから、本当の現実とあまり変わらない世界だと言えます。

これらの世界の数をベースに考えると、本当の現実世界は一個しかありません。

でも仮想現実の世界は無数にあります。ですので、もしこのような仮想現実の世界が本当に存在しているのであれば、私たちの世界が、たった一つしかない現実世界である、と言える確率は限りなくゼロに近いと言えます。これがシミュレーション仮説のロジックです。

この世界は仮想現実か?

しかし、イーロン・マスクの発言にある、「私たちが本当の現実にいる確率は10億分の1」という部分は少し言い過ぎでした。現時点では、私たちが仮想現実にいる確率はまだそんなに高くないと言われています。それがなぜかと言うと、パソコンの技術で人間の意識を完璧に再現できるかどうかはまだ不明だからです。

パソコンで再現することが困難な人間の意識

まずそもそも、意識の正体が何なのかはまだ不明ですし、仮に意識の正体が明らかになったとしても、パソコンによってそれを再現できるかについても不明です。しかし、もし数千年後や数万年後、未来人がパソコンで人間の意識を完璧に再現できたなら、おめでとうございます、私たちが仮想現実にいる確率は100%と言っても過言ではありません。なぜなら、意識さえシミュレートできれば、その時の未来人がこの世界とほぼ変わらない仮想現実を作ることができます。先ほど紹介したレイヤー1から、無数の仮想世界が誕生していきます。

従って、私たちの世界が、たった一つしかない現実世界である、と言える確率は限りなくゼロに近いことになります。

では、パソコン技術によってまだ意識を作れない今のこの時点で、私たちの世界は現実なのか、それともシミュレーションなのか、誰でも気になると思います。今からそれを分析していきたいと思います。

分析のロジックとしては、仮に私たちの世界がコンピュータによる仮想現実であれば、パソコンやプログラミング特有の特徴が、ある程度この世界の自然法則に反映するはずです。そのパソコン特有の特徴は、私たちの世界にあるかどうかを、今から探してみましょう。

時速75kmとなる野球のボール

まず、皆さんもご存じのように、この世界は物理法則の支配下で動いています。しかし、無数の物理法則の中に、非常におかしい法則がひとつあります。それが「光速不変の原理」です。普段の生活のあらゆる場面で感じている物の動く速度ですが、仮にあなたが時速60kmの速さで走っている車の中にいます。この時に、あなたが野球のボールを時速15kmの速さで車の前進方向に投げると、止まっている人から見れば、野球ボールの速度は時速75kmになります。

しかし光速の場合は違います。光の速度はどんな状況においても、永遠に毎秒30万kmです。仮にあなたが光速で前方に移動しているとします。この時、手に持った懐中電燈を前方方向に向け、スイッチをONにすると、止まっている人から見れば、懐中電燈から放たれた光は、光速の倍の秒速60万kmの速さになるはずなのに、物理法則がそれを許しません。この時の懐中電燈の光は秒速30万kmのままです。

これは常識に反する現象です。初めて光速不変の原理を発見したアインシュタインでも、現在の物理学者でも、なぜ光の速度が変わらないのかについて、完璧に説明できていません。

でも、もしこの世界がコンピュータのシミュレーションによる仮想現実だとしたら、光速不変の理由は簡単に説明できます。コンピュータの処理速度には上限がります。この世界をシミュレートしているコンピュータにも、処理速度の上限があれば、この世界に何らかの形で反映されます。一つ考えられるのは、この世界の中の速度には上限があり、その上限が光速であることです。この世界にある物の動く速度はもちろん、情報の伝達速度も、光速を超えられません。これは全部、私たちの世界をシミュレートするコンピュータの上限処理速度に起因しているのかもしれません。

また、以前の投稿でも言いましたが、量子力学においては、光子、電子などの小さい粒子は、人がそれを観察しないと、彼らは速度も場所も不確定の状態になっています。人が観察したその瞬間に、粒子の状態が確定されます。この現象が起きる理由も光速不変の原理と同じくまだ完璧に説明できていません。しかし、シミュレーション仮説で考えれば簡単に説明できます。この世界をシミュレートするコンピュータが処理の負担を減らすために、シミュレートの世界にいる意識を持つ人間に観察されていないものに対しては、コンピュータがそれらを表示もしくは表現しません。

人に観察されたその瞬間から処理を始めれば、コンピュータにかかる負担が数十億倍も減ります。実は現在のコンピュータゲームもこのような仕組みで動いています。プレイヤーが見ていない、行っていない場所にある情報は一旦処理されません。プレイヤーがそこを見た瞬間からコンピュータが処理を始めます。

この世界の全ての物理現象は数学で表現が可能

さらにもっと根本的なところを見てみると、数学というのは非常に不思議なものです。この世界の全ての物理現象は、数学で表現できます。さらに未だに発見されていない現象も、数学で予言できます。なぜ数学はそんなことができるのかというと、数学は実は、ロジックを表現するツールもしくは言葉なのです。数学がこの世界の物理法則を表現・予測できる理由は、物理法則がロジックに従って動いているからです。

プログラミングのロジックを表現している数学

面白いことに、コンピュータのプログラミングも、ロジックに依存しています。プログラミング言語はたくさんありますが、どれも厳密にロジックに従わないと働きません。もし私たちの世界がコンピュータのプログラミングによって作られたものだとしたら、数学がそのプログラミングのロジックを表現しています。物理学も根本的に言うと、そのプログラミングがどういうロジックで働いているのかを研究する学問です。

また、この宇宙はビッグバンによって誕生したという「ビックバン理論」がありますが、ビッグバン以前の状態は、物質、時間、空間含め何も存在しない状態だと言われています。その何もない状態がどういう状態で、なぜビッグバンがあったのかは、現段階ではまだ謎ですが、これもシミュレーション仮説で考えれば簡単に説明がつきます。

コンピュータゲームの中の住民にとっては、そのゲームが作られる前の状態は、ビッグバン以前の状態と同じく何もない状態です。ビッグバン自身というのは、そのゲームの世界が作られた瞬間です。宇宙文明の動画や投稿でも言いましたが、文明はどう頑張っても、レベル6にしかたどり着けません。なぜなら、レベル7の創造主文明というのは、この仮想現実を作った文明です。ゲームの中の住民がゲームの中でいくら強くても、彼らはゲームの外の世界には行けませんし、そのゲームを作った人にはなれません。

全ての情報は保存されている

アカシックレコードの動画や投稿で、宇宙における全ての情報と知識を記録しているアカシックレコードという記録媒体のような存在が、どこかにあるかもしれないというのを紹介しましたが、それも、シミュレーション仮説で説明がつきます。私たちの世界がコンピューによるシミュレーションであれば、このシミュレーションの中にある全ての情報は、当然コンピューの中に保存されています。私たちはそのデータベースに保存されている情報にアクセスができれば、この世界における全ての知識と全てのできことを知ることができます。

真実の目の見解

もちろん、以上の内容は僕の推測にしかすぎません。先ほども言ったように、現段階では、シミュレーション仮説の可能性はまだそれほど高くありません。仮に私たちが本当に仮想現実の中にいるとしても、何も悲しいことはないと思います。仮想現実は本当の世界の物理法則に従って作られ、本当の世界の生命体と変わらないような意識を持っているのであれば、この仮想現実が本当の世界とほぼ変わりがないはずです。

映画マトリックスの中には、本当の世界の生活が苦しすぎて、自ら仮想現実に戻ることを選択したキャラクターもいます。しかし、いつか私たちの文明がシミュレーション仮説の正しさを証明できた時に、その事実が人々にどんな衝撃を与えるのか、社会にどんな影響をもたらすのかについては、今ではまったく予想ができません。

コンピュータ技術の発展速度から、2045年に技術的特異点が生じると言われています。技術的特異点というのは、何かの新しい技術の誕生によって、世界全体が一つ上の段階に上がるということを指しています。ですので、2045年に生じるかもしれない技術的特異点は第四次産業革命とも言われています。その技術的特異点とはどのような技術なのかは、様々な推測がありますが、僕の中の一つの可能性としては、コンピュータ技術によって意識を誕生させることです。

先ほども言ったように、コンピュータ技術が意識を作ることに成功した瞬間から、私たちが仮想現実にいる確率がより100%に近くになりますので、その時の人々の生き方や価値観がどう変わるのかは、個人的にはすごく興味があります。

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