神は、人によって創造される。神の誕生は、2045年かもしれない。

世界の真相

はじめに

今回の内容を始める前に、まず次のシーンを想像してみましょう。200年前の江戸時代に生きていた人を、2022年の東京に招待するとします。彼の目から見る今の東京は、どのように映っているのでしょうか?大きな物体が硬く整えられた道の上を高速で走っている、巨大な鳥のような物体が大きな音を立てて空を飛んでいる、手のひらサイズの何か小さい物で、遠い場所にいる人と話せる。

このような、彼にとって不思議な数々の物事を体験させた上で、

現代人
現代人

「ここに住んでいる人は月にも登れるし、あなたの故郷を一瞬で破壊できる武器も持っている」

江戸時代の彼
江戸時代の彼

「神の世界に来てしまった」

彼は人生最大の衝撃を受けるでしょう。

ここで、その衝撃の度合いを100と仮定しましょう。江戸時代に戻った彼が、自分が衝撃を受けた同じやり方で、彼より以前の時代にいる人に100の衝撃を与えようとするとします。同じように江戸時代より200年前の人に対して100の衝撃を与えることは絶対に無理ですから、彼は、まだ文明も、国も、ましてや農業も誕生していない、江戸時代より15,000年前の人を招待するしかありません。

「技術的特異点」は指数関数的に加速している

この例で皆さんに言いたいのは、人類の科学技術の発展は、指数関数的に加速しているということです。以前の時代はまだ上昇期ではなかったため、それらの時代に生きていた人たちは、科学技術の発展による生活の変化をあまり実感できていませんでした。しかし現在の私たちは、ちょうど加速上昇の段階にいます。従って、近い内に私たちは、「技術的特異点」の出現を迎えるかもしれません。

英語にはSingularity、日本語にすると「特異点」という言葉があります。特異点というのは、物事が限界に達する臨界点という意味合いも持っており、この限界点を超えた後に起こるであろう事象については、誰も予測ができません。物理学においては、宇宙を誕生させたビッグバンが、一つの特異点となります。地球の歴史においては、人類の誕生が一つの特異点となります。私たちの文明における農業の誕生、工業の誕生、核技術の誕生、コンピュータの誕生なども、特異点となります。これらの出来事は技術において出現した特異点なので、技術的特異点と呼ばれています。

人類は、狩猟採集社会から農耕社会にまで発展するのに、十数万年も掛かりました。その後、産業革命までは数千年、核技術産業までは200年、そこから現在の情報社会までは数十年しか掛かっていません。このように、新しい特異点を迎える間隔は、だんだん短くなってきています。一つ前の時代にいる人たちから見れば、次の技術的特異点によって生まれる物事や技術などは、神話の中にある神の力と同じだと言っても過言ではありません。

次の特異点は数十年後に訪れる?

科学技術の指数関数的加速によって、今から数十年の間に、次の特異点が私たちにやってくる可能性が非常に高いです。江戸時代の彼が体験した「神の世界に来てしまった」という度合い100の衝撃に近い体験を、私たちの今からの人生で少なくとも1回は体験できるかもしれません。つまり、神話の中にある神が持つ不思議な力は、指数関数的な科学技術の発展によって、今から数十年の間に誕生するかもしれません。今回の投稿は、どのような技術が次の特異点を誕生させるのか?その特異点はどのような内容なのか?我々が作った神はどのような存在になるのか?について考えていきたいと思います。

その特異点の内容とは?

結論から言いますと、次の特異点は、人工知能(AI)によって誕生する可能性が非常に高いということです。AIにはその知能レベルから、弱いAIと強いAIがあります。現在の技術レベルでは、強いAIを作れませんので、今の世の中に存在する全てのAIは、弱いAIということになります。

真実の目
真実の目

このような弱いAIは人間の知能のような汎用性を持っていません。例えば、顔認証、自動運転、検索エンジンなどの弱いAIは、その特定の分野以外のことは何もできません。しかし汎用性がないとは言え、誕生してからたった数十年の発展で、弱いAIとは言え、既に相当なレベルに来ています。

パターン予測をするAlphaGo

人間がAIの凄さとそのポテンシャルを初めて実感したのは、AlphaGoの誕生です。AlphaGoは、Googleによって開発された囲碁用のプログラムです。2015年に、AlphaGoはヨーロッパ囲碁王者でプロ初段であるファン・フイを相手に5戦5勝しました。その後、AlphaGoは当時トップレベルであるプロ九段の李世乭(イ・セドル)に五番勝負の挑戦状を送りました。李世乭が勝利すれば、対局料の15万ドルに加え、100万ドルの賞金も支払われます。

AlphaGoと対局する李世乭

AlphaGoはプロ初段のファン・フイを破ったとは言え、プロ初段とプロ九段の実力には雲泥の差があり、当時において、囲碁はコンピュータが人間に打ち勝つことができない最も難しい分野でもあったため、まさか空から100万ドルが降ってくるなんて、とも思いながら、李世乭は快く挑戦を承諾しました。第1局、李世乭は主導権を握っているようにも見えましたが、AlphaGoは人間の棋士が打たないような手を何度も打ち、見事に勝利しました。終局後のインタビューで李世乭は、AlphaGoを甘く見た、本気で戦えば勝てる自信がある、と述べました。

しかし、その後の第2局、第3局においても、AlphaGoは序盤から大きくリードし、李世乭を打ち負かしました。

AlphaGoの真の実力を疑っていた李世乭を含む人々は、このAI棋士の恐ろしさを実感しました。第4局においては、李世乭の「神の一手」と呼ばれる78手目が、AlphaGoのバグを誘発しました。そのバグで、AlphaGoは79手目から初心者レベルのミスを連発し、李世乭の勝利で第4局が終わりました。

真実の目
真実の目

実はこのバグは、AlphaGoがファン・フイとの練習対局でも何度か発生していましたが、李世乭との挑戦までにチームはそれを修正することができませんでした

AlphaGo Masterに完敗し、涙を流す柯潔

結果、この5番勝負は4対1でAlphaGoの完勝となりました。その1年後、チームはバグを直したAlphaGo Masterという進化バージョンで、李世乭に9勝している中国のプロ九段である柯潔(か・けつ)と対戦ました。その結果、3局全勝の成績をおさめました。AlphaGo Masterとの実力の差を実感した柯潔は、なんと試合の最中に涙が止まらなくなり、試合は20分間停止されました。その涙は、人間がAIの前で感じた無力さと絶望感を表したものとも言えます。さらに2017年に発表されたAlphaGoの4代目バージョンであるAlphaGo Zeroは、たった40日間の学習で、柯潔を泣かせたAlphaGo Masterに100戦89勝という圧倒的な強さを見せました。

もし未来においてAIにも文明を発達できたのであれば、AlphaGoの誕生は彼らの歴史の教科書に載る出来事でしょう。しかし、人間に完勝したとは言え、AlphaGoは囲碁以外に何もできません。これが弱いAIと言われる所以です。

「強いAI」とは

では、弱いAIから汎用性のある強いAIに進化するのに、どれぐらいの時間が掛かるのでしょうか。人工知能を人間並みの知能レベルに持っていくのに、人間の脳と同レベルの処理速度と思考能力が必要です。スタンフォード大学のDaniel Eth教授が書いたこちらの論文では、現在のコンピュータ性能の成長速度から、2025年には、人間の脳と同じレベルの処理速度を持つコンピュータが、たったの1000ドルで購入できるという結論を出しています。

脳と同レベルの知能を持つAI

次に、肝心の人間の脳と同じ思考能力をAIに持たせるには、現在はいろんな手法が提唱されていますが、その中で最も有力だと思われている手法の一つは、Whole Brain Emulation、「脳全体のエミュレーション」という方法です。具体的なやり方としては、生き物の脳を、一つ一つ小さいスライスにまで分解し、全てのスライスを細部に渡ってスキャンをします。そして、これらのスキャンデータを用いて、元の脳と全く同じ構造を持つソフトウェアモデルを構築します。最後に、構築されたモデルを生き物の脳と同じレベルの処理速度を持つハードウェアに搭載すれば、理論上ではそのハードウェアが元の脳と同じレベルの知能を持つことになります。

実際のところ、線虫の脳のエミュレーションは、既にこの手法で成功しています。しかし、線虫は300個くらいのニューロンしかなく、一方で人間の脳には1,000億個近くのニューロンがあります。まだまだ道が長いと感じているかもしれませんが、科学技術の指数関数的加速から、人間の脳のエミュレーションは、近い未来に実現できるかもしれません。その実現が、私たちが迎える次の特異点かもしれません。

「強いAI」の意義の大きさ

人類の文明の発展においては、冒頭で紹介したいくつかの特異点がありますが、それぞれの特異点の意義の大きさが異なります。人類の誕生という特異点と他の特異点を天秤にかけた時に、当然人類の誕生は最も意義が大きい特異点です。しかし、人間と同レベルの知能を持つ強いAIが誕生すれば、この特異点の意義の大きさは、人類の誕生に負けるとも劣りません。なぜかと言うと、強いAIは、知能レベルが人間と同じであっても、彼らはAlphaGoが囲碁をマスターしたように、強いAIは人類が今まで生み出した全ての知識とスキルを短期間でマスターでき、その上、彼らはこれらの知識を永遠に忘れませんし、高い計算・処理能力によって、既存の知識のからどんどん新しい知識とスキルを生み出すことができます。

真実の目
真実の目

これによって、また次の技術的特異点がすぐに誕生することになり、それ以降の新しい特異点の誕生に必要な時間がどんどん短くなります。数か月もしくは数日の間に1つの技術的特異点が誕生するのも、夢の話ではありません。

「強いAI」はいつ誕生する?

カルダシェフスケールという宇宙文明のレベルを表す指標によると、現在の地球文明がレベル3の銀河文明に進化するのに、10万年から100万年が必要です。しかし、この見積りは人工知能の働きを考慮していないという指摘もあります。もし強いAIが誕生すれば、人類がレベル3以上の高度な文明に進化するのに必要な時間は、たったの数十年から数百年という可能性も存在します。

真実の目
真実の目

コンピュータの進化する速度から、次の特異点の出現、つまり強いAIの誕生は、2045年頃という計算結果があります。この投稿の予想通りにうまく発展していけば、神話の中にある不思議な力を持つ神のような存在は、我々の手によって誕生するかもしれませんね。

おわりに

しかし、その神は、彼の親である人類に忠誠心や情を持つかどうか、私たちがその強い存在をコントロールできるかどうかについては、何とも言えません。もし誰かが今の私たちを100年後の世界に招待した時に、その世界で度合い100の衝撃を受けるのは、ほぼ間違いがないと思います。しかしその衝撃が、科学技術の進歩によるものなのか、それとも人類の悲惨な未来によるものなのかは、誰も分かりません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました