【光の本質】全てが光である理由とは?光の正体は?

宇宙奇譚

二コラ・テスラの考えた光とは

1899年、とあるインタビューを受けた天才発明家のニコラ・テスラは、奇妙な言葉を残しました。「すべては光であり、世界中でこれまで存在した誰もが死んだことはない、このことをよく覚えておいてください。彼らは光に変わったのです。もし光が存在しなければ、私たち自身、そしてこの宇宙自体も存在しなくなるのです。光は、宇宙の存在において極めて重要な役割を果たしています。」

このインタビューの内容は当時誰が聞いても、サイエンスと言うより神秘的な話題、あるいはオカルトの類だと感じていたことでしょう。しかし、100年後の現在、最先端の研究結果は私たちに驚くべき示唆をもたらしています。そして、テスラだけがその時既に宇宙の核心的な秘密を知っていたのかもしれません。テスラが話した「宇宙の核心的な秘密」とは何なのか?それは光とどう関わっているのか?光の本質とは何なのか?今回は、光について考えていきたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいね。

光の研究史

私たちがこの世界を視覚的に見ることができている理由は、「光」という存在のおかげです。厳密に言うと、私たちの目は物質を「直接見る」というようなことはできず、私たちが見ているのは、物質から跳ね返った光です。それらが目に入り、脳が電気信号に変換し、その結果、何らかの物体として解釈されます。ですので、もし光が存在しないのであれば、私たちは何の視覚的な情報も得ることができなくなり、正真正銘の闇に落ちます。数千年前から人類は既にこの事実に気づいており、光の正体を探る研究は古代から始まっていました。

紀元前300年頃、「幾何学の父」と呼ばれている古代ギリシャのエウクレイデスは、近くのものが大きく、遠くのものが小さく見えるという、誰もが慣れ親しんでいるこの現象について、その理由を探る中で、光の入射角と反射角が同じであるという事実を発見しました。これは人類が初めて数学というツールを用いて光の1つの性質を解明した瞬間でした。

17世紀に入り、「ニュートン力学」を確立したことで「物理学の父」と呼ばれるようになったアイザック・ニュートンは、実は光にも強い関心を持っていました。彼は、「光はなぜ目に入るのか?」という問いについて研究する過程で、外部から目に圧力を加えると、目に入ってくる光はどのように変わるのか?という疑問を解消するため、自分の体を実験台にしました。眼球に圧力をかけるために、彼は眼球と眼窩の間に針を入れ込むという極めて危険な実験を行いました。

それによって、彼の視界にはなんと七色の虹が現れました。なぜこのような現象が起きたのかをさらに追求していくと、光がプリズムを通過すると、それぞれの色成分に分解されるということも発見しました。これは、白い光が実際には多くの異なる色の光から構成されていることを示す初めての証拠でした。

ただし、プリズムによって分解された色成分、例えば赤の光をプリズムに通過させても、それは分解されないことも分かりました。ニュートンはなぜ光に異なる色があるのかを説明することまではできませんでしたが、それからさらに数十年間の観察と実験によって、彼は次のような結論を導きました。「光の構成要素は極めて小さい粒である」。

この結論は長い間正論だと信じられてきましたが、1805年、トマス・ヤングという物理学者が「ヤングの実験」を通じて光の干渉性を発見しました。このような干渉は、もし光が粒で構成されているとするならあり得ない現象です。そのため、光は実は波であり、ニュートンの主張は間違っていたと科学界は判断しました。

時は1860年に至り、ジェームズ・マクスウェルという物理学者は、電気と磁気の関係を研究する中で、電磁場のモデルである「マクスウェルの方程式」を導きました。この電場と磁場の関係を記述する方程式は、歴史上最も偉大な方程式の1つとされるほど絶大な影響力を持ちますが、この方程式にはもう1つの大きな秘密が隠れています。

方程式を解くと、電磁波が真空の中で進行する速度は毎秒約299,792,458メートルであることが分かりましたが、これはちょうど光の速度そのものであり、そのためマクスウェルは、光の正体は電磁波であると結論づけました。さらに、この発見によって、ニュートンが理解できなかった、光がなぜ色を持つのかという疑問も解決されました。それは、電磁波が異なる周波数で振動しているために、光の場合、それらは異なる色として表出したのだという説明です。

これは人類の光に対する理解を大きく進める一歩でしたが、その後のアインシュタインによる発見と量子力学の研究結果から、人類は光の正体にさらに近づきました。学説は二転三転し、ニュートンの「光は小さい粒で構成されている」という主張はある意味で間違っていなかったことが明らかとなりました。同時に、ヤングやマクスウェルの「光は波である」という主張もまた、正しいものであり続けました。すなわち、光は確かに1つひとつの「光子」という“粒”で構成されており、同時に光は”波”でもある、光は粒子の性質と波の性質を同時に持っているということが解き明かされたのです。

また、アインシュタインが発見したE=mc^2という方程式から、質量とエネルギーは等価であり、一方から他方へ変換することが可能であることも分かりました。つまり、物質はエネルギーから生まれることができ、逆に、エネルギーも物質から生まれることができます。そして、方程式が示しているように、このような物質とエネルギーの変換には、光(c)が関わっているのです。

ここまでの光の研究史を振り返ってみると、光が粒子もしくは波であるという理解から、光が粒子でもあり波でもあるという理解へと移行し、そして光がエネルギーの伝達手段であるとされるまでの過程で、人類の光に対する認識は深くなっていきました。しかし、これらはまだ序の口で、さらなる本質に迫った科学者たちは、光がこの世界のあらゆる出来事に関わっていることに気づき始めました。

光は全てと関わっている

私たちはこの世界を見るために光という存在を欠かすことができませんが、視覚だけでなく、私たちがこの世界を実際に触って感じるとき、すなわち触覚にも、光は必要不可欠な存在です。これはどういうことかと言うと、私たちが物に触れたり、手に持ったりできるのは、全て「電磁相互作用」の働きによる結果であるということです。

例えば、歩くときに地面に足が滑らないのは、靴と地面の間に摩擦力があるからですが、この摩擦は、物質の微細なレベルでの電磁相互作用によるものです。また、私たちがほかの人と握手すること、ペンを持って紙に文字を書くことなどなど、全ては電磁相互作用の結果です。

これが光とどんな関係にあるかと言うと、1940年から発展してきた「量子電磁力学」の理論によれば、物体間の電磁相互作用によって生じる力は、実は光子を通じて伝達されています。ですので、もし光がなければ、電磁相互作用が働かなくなり、私たちは何も触れることができませんし、何も感じることができません。さらに根本的なところを考えると、物質を構成する基本単位の原子自体は、電磁相互作用の存在によってそれ自身の形が維持されるようになっています。

そのため、光が存在しなければ、原子も存在しなくなり、この世界には、車もなく、家もなく、私たち自身も存在せず、そしてこの宇宙自体も存在しなくなります。ここまで議論を展開してくると、光の核心的な秘密に一歩近づいたような気がしてきたのではないでしょうか。光はどうも、宇宙を形成するために必ず必要な要素である物質及びエネルギーと切り離せない関係にあるようです。ただ、この宇宙には物質とエネルギー以外に、もう1つ重要な要素があります。それは、「情報」です。そして、光は情報の伝達にも重要な役割を果たしています。

私たちが太陽の光と熱を感じる時、その光は太陽からの情報も運んできています。太陽光を分析することで、太陽に関する様々な事実や事情を知ることができます。実際、私たちが他の星や宇宙全体のことを知るための手段はほとんど、光に依存しています。

人々は宇宙望遠鏡で星が放った光を観察し、その星について学びます。言い換えれば、その星が放った光から、その星に関する情報を受け取っているということです。宇宙についても同じく、研究者たちは宇宙マイクロ波背景放射を観測することで、宇宙を具体的な研究対象とすることができるようになりましたが、それも根本的には、光に隠れている情報を読み取るという行為です。

もっと身近な例で話を整理してみます。私たち人間が情報を得るための主な手段は目で見ることです。目で物事を見るという行為の本質とは、「光を受け取ること」であって、光の正体の一つの側面として、光は情報伝達の媒体なのです。ここまでの内容をまとめると、宇宙を構成する3つの基本要素である物質、エネルギー、そして情報は、どれも光がないと存在できないということが分かりました。

ここで、冒頭でご紹介したニコラ・テスラの「全ては光である」という話を思い出してください。これは現代の研究で明らかとなった光の秘密と同じ内容を言っていると解することができます。ただし、光の秘密に関するここまでの結論のどれもが、ほぼ理論的な推理によって得られたものです。したがって、実験による具体的な検証でも同じ結論が得られるのかを確かめる必要があります。

光は物質を生成できる

時は1929年に進み、カリフォルニア工科大学に在学していた物理学者のチョウ・チュウギョウは、何もないところから光を創り出すことに成功しました。彼がガンマ線高エネルギービームを鉛に当てたところ、なぜか光が出現しました。当時、光が出現した理由は誰も分かりませんでしたが、後の研究で判明した事実によると、この光は電子と陽電子の消滅によって放出されたものでした。

難しい話はさておき、この現象を一言でまとめると、この実験において、「物質の消滅」、つまり、物質がこの世から姿を消してしまうということが起きていたのです。しかし、それらの物質が消える代わりに、光が生じました。これはこれで非常に興味深い現象ですが、研究者たちの間で1つの疑問が生まれました。それは、物質の消滅が光を生むのであれば、逆に光は物質を生成することができるのか、という疑問です。

時は直近の2021年、アメリカのブルックヘブン国立研究所で、研究者たちは2つの金イオンを同じ直線上で光速の99.995%という速度で反対方向に移動させることで、周囲の電磁場の中にある光子どうしを衝突させました。この実験の目的は光どうしを衝突させて、何が起きるのかを検証することです。実験の結果、光子の衝突によって、なんと6000個以上の陽電子と電子が生まれました。この結果はすなわち、光が物質を生成することができるという仮説を証明するものでした。これら100年近くの時を隔てて実施された2つの実験は、物質は光に変わることができ、光は物質を生むことができるという真実を実証しました。

ここまでの内容を総じて考えてみると、宇宙がビッグバンから始まったということは、全ての物質とエネルギーは「無」、もしくは「光」から生まれたとも言えます。100年前の時代に生きていたテスラがこの光の秘密をどのように知り得たのかははっきりと分かっていませんが、彼が知っていたことは、今回お話しした内容の範疇に収まらないほど、まだまだ広く深いところにあるようです。ここでテスラがインタビューで話した次の言葉で今回の動画を終えたいと思います。

二コラ・テスラ「光の本質とは」

「物質とエネルギーは、いずれも光に由来しています。この光は輝かしく、星や惑星、人間、そして地球と宇宙全体に表れています。宇宙には4つの基本的な法則が存在します。最初の法則は、すべての謎の源泉となる何らかの原理、あるいは基本的な数学的枠組みを指します。この原理は宇宙全体と調和しています。第二の法則は、闇から光への変換を示しています。つまり、我々が理解できない何かが、光、すなわち我々が理解し、観察できる形に変換されることです。第三の法則は、物質を形作るためには光が不可欠であるというものです。これは、物質は光から生成され、光なしには存在し得ないということです。第四の法則は、宇宙は無始無終であり、創造は永遠であるということです。これは前の3つの法則が常に相互に作用し続け、宇宙が永遠に進化し続けることを意味します。」

それでは、今日もありがとうございました。

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