パラレルワールドは4種類も実在、異なる私たちは無数に存在する

宇宙奇譚

はじめに

パラレルワールド、平行宇宙、皆さんはこのような言葉を聞いたことがあるかと思います。ある一つの世界の中に存在しているあなたは、この投稿を見終わって「いいね」ボタンを押し、その後の人生において、幸せな家庭を築き、幸福な人生を順風満帆に送っています。

一方で、もう一つの世界の中に存在しているあなたは、この投稿を見終わってコメントまで残し、その後の人生がとんとん拍子で大金持ちになり、とても満足な一生を送っています。

このように、それぞれ並行して存在する世界、もしくは宇宙は、パラレルワールドや平行宇宙と呼ばれています。一見SF小説のように聞こえる話ですが、実はパラレルワールドという概念を最初に提唱したのは、SF作家ではなく理論物理学者でした。しかも様々な研究結果から、パラレルワールドは4種類存在しているのではないかと推測されています。今回は、これら4種類のパラレルワールドをご紹介したいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

1つ目のパラレルワールド

まずは1つ目のパラレルワールドを見てみましょう。1つ目のパラレルワールドは私たちが生きているこの宇宙の誕生とその存在と密接に関係しています。ですので、まずは宇宙の話を少ししましょう。

この宇宙は「特異点」から始まった

ビッグバン理論によると、この宇宙は、一つの高温高密度の「特異点」と呼ばれる状態から始まりました。その特異点は何らかの理由で膨張を起こし、空間はそれ以降、絶えず膨張し続けています。ビッグバン理論が広く認められている理由は、この理論が予言していた宇宙マイクロ波背景放射の存在が確認されたことや、遠い場所にある天体があらゆる方向に地球から遠ざかっていることが発見されたことなどが挙げられます。

現在の宇宙の膨張する速度は、初期の宇宙と比べると、だいぶ落ちましたが、宇宙空間の膨張する速度は距離と比例していて、つまり地球から遠ければ遠いほど、地球から遠ざかる速度が増していきます。しかも、この遠ざかる速度は光速を超えることもあります。

光速は宇宙における最大速度だというのは、聞いたことがあると思いますが、これは、空間の中における物体の運動速度の上限が光速だということで、空間自体の膨張する速度はこのような制限を受けません。

今私たちが見ることが出来る最も遠いところからきた光は、ビッグバンが起きた138億年前に光を放った物質です。しかし空間の膨張する速度は光速を超えているため、これらの物質が放った光が138億年をかけて地球に到着した頃には、その光を放った物質は地球から465億光年も離れた場所に遠ざかっています。従って、私たちが観測できる宇宙は、我々を中心として半径約465億光年の球体と言うことになります。この半径約465億光年である球体の境界部分は、光速を遥かに超えた速度で膨張していることから、光速を超えられない私たちは、永遠にこの球体の外に行くことができません。

また、情報の伝達スピードも光速を超えることが出来ないことから、仮にこの球体の外から地球に情報を送ったとしても、その情報は永遠に地球に到達することができません。つまり、私たちのこの465億光年の球体は、外の世界と完全に隔離されていることになります。

現段階の観測結果によると、宇宙の曲率は0です。これは、宇宙の空間は無限大であることを意味します。更に、宇宙のどのエリアにおいても物質の量はほぼ均一であるという観測結果もあります。前置きが少し長くなりましたが、これらの内容をベースとして考えると、ある一つの結論にたどり着きます。

宇宙空間に無限に存在する宇宙

もし宇宙空間が本当に無限大であるなら、この半径465億光年の球体は、宇宙空間に無限に存在することになります。そして、無限大であることを前提にした場合、どんなに確率の小さいことでも起こり得ます。例えば、猿がタイプライターのキーボードをいつまでもランダムに叩きつづければ、いつかはウィリアム・シェイクスピアの作品を打ち出すことができるという「無限の猿定理」があります。

同じく、物質は十数種類の基本粒子の様々な組み合わせによって構成されています。これらの粒子の組み合わせは計り知れないほどありますが、宇宙空間にこの465億光年の球体が無数に存在しているのであれば、どこかでかならず、私たちのこの球体と全く同じ種類の粒子と組み合わせで構成されたもう一つの球体が現れます。

全てが同じである世界は存在する

計算によると、理論上では、全てが同じである二つの球体は、およそ10の10の122乗メートル離れた場所に存在しています。この人間の脳でイメージさえできない距離にある二つの世界は、空間の膨張によって、お互いの世界から放たれた光でさえ、相手の世界に永遠に届くことがありません。従って、二つの世界は完全に独立した存在で、相互に影響を与えられません。

異なる世界で存在している「あなた」

つまり、これらの世界は平行してこの宇宙に存在していることになり、全く同じ粒子で構成された無数の“あなた”自身も、それぞれ異なる世界の中で存在しています。物理学と生物学の観点から、これらの“あなた”は全て同じ外観、性格であるはずです。これらの“あなた”は、同じ場面でいつも同じ決断をするときもあれば、真逆な行動に出る可能性もありますので、それぞれの世界にいる“あなた”は今のあなたと同じ人生を送っているかもしれませんし、全く異なる人生を送っているのかもしれません。少し一般常識を崩したような内容かもしれませんね。

2つ目のパラレルワールド

2020年のノーベル物理学賞の受賞者であるロジャー・ペンローズは、宇宙の誕生について次のような発言をしたことがあります。

ビッグバンが10の300乗回起きた時、現在のような宇宙が誕生する回数はたったの1回だけです

もしこの計算が正しいのであれば、ビッグバンが10の300乗回もしくはそれ以上に起きていたことと、私たちの宇宙のような他の宇宙も存在することを意味します。

実は、この考え方は机上の計算による結果だけではなく、ある実際の観測結果も他の宇宙の存在を示唆しています。冒頭で宇宙マイクロ波背景放射についてお話しましたが、これらのマイクロ波は、宇宙で誕生した第一期の光子たちが現在の宇宙に残した痕跡です。高精度な観測装置でマイクロ波背景放射の温度を測ったところ、宇宙におけるほとんどの場所でその温度はほぼ同じということが分かりました。差があったとしても、10万分の1くらいのわずかな差しかありません。

マイクロ波背景放射の温度を測定して観察されたCOLD SPOT

しかし、例外も観察されました。ある場所の温度は、マイクロ波背景放射の平均温度より100μKも低いことが分かりました。これは変化上限範囲である18μKを大幅に超えています。この平均温度よりも低い場所はCOLD SPOTと呼ばれており、その形成された理由についてはまだはっきりと分かっていませんが、一つの有力な仮説としては、COLD SPOTは私たちの宇宙がほかの宇宙と衝突した時に残された痕跡だということです。

平行宇宙説によると、私たちがいるこの宇宙は、数多くの宇宙の中の一つにしかすぎません。これらの宇宙は全てビッグバンにより誕生し、膨張する初期においては相互に影響を与えていました。私たちが観測できたこのCOLD SPOTは、他の宇宙が私たちの宇宙に残した痕跡だと推測されています。

ここで忘れてはいけない肝心なことは、ビッグバン理論は宇宙の誕生をうまく説明できていますが、ビッグバンはなぜ起きたのか、ビッグバン以前の世界はどうなっているのかについては、誰もその答えを持っていません。

シミュレーション仮説の動画や投稿は、ビッグバンが起きた理由を説明できる一つの仮説です。同時にこの仮説は、なぜこんなにも多くの平行宇宙が存在しているのかについても説明できています。興味のある方はシミュレーション仮説についての動画も御覧ください。

さて、本題のパラレルワールドに戻りますが、もしこの2つ目のパラレルワールドが存在しているのであれば、異なるバージョンの私たちの数はどうなるのでしょうか?1つ目のパラレルワールドの中には無数に存在している、さらに2つ目のパラレルワールドの中にも無数に存在していることになります。既に十二分に常識を超えていますが、パラレルワールドはまだ終わってはいません。続いて3つ目のパラレルワールドを見てみましょう。

3つ目のパラレルワールド

3つ目のパラレルワールドは以前の動画や投稿の二重スリット実験と関係があるので、ここで簡単に二重スリット実験という不思議な実験を見てみましょう。

「粒子性」と「波動性」を同時に持っている

光子や電子などの小さい粒子を、2本の狭いスリットのある板に向けて発射すると、スリットをすり抜け、板の後ろに設置されているスクリーンに現れる模様は、2本の直線ではなく、濃淡のある縞模様が現れます。これは、光子や電子などの小さい粒子は、「粒子性」と「波動性」を同時に持っているからです。どういうことかと言うと、2本のスリットを通過している時に、波動性により粒子たちは相互に干渉し、波の重ね合わせによって、濃淡のある縞模様が後ろのスクリーンに現れるという事です。

続いて科学者たちは単一光子源や電子源で、光子や電子を一個ずつスリットに向けて発射した場合、どうなるかの実験を行いました。普通に考えると、粒子は一個ずつしかスリットを通過しないため、相互干渉がなくなります。従って、後ろのスクリーンには2本の直線が現れるはずです。しかし不思議なことに、スクリーンにはまた濃淡のある縞模様が現れました。

科学者たちは、この時の粒子が、スリットを通過している時に何が起きていて、粒子はどのスリットを通過したかを確認するために、スリットの横にセンサーを設置し、もう一度粒子を一個ずつスリットに向けて発射しました。驚いたことに、後ろのスクリーンに現れたのは縞模様ではなく、2本の直線になりました。

この時、センサーをOFFにすると、OFFにしたその瞬間に縞模様がスクリーンに現れます。

これはまるで、粒子は意識を持っており、自分が観測されている時には粒子性を表し、観測されていない時には波動性を表しているようにも見えます。

この不思議な現象に対する現在最も受け入れられている解釈は「コペンハーゲン解釈」です。この解釈を簡単な言葉で説明すると、粒子は観測される前には、波の形としていくつかの異なる場所に同時に存在しています。しかしその粒子は、観測されると、一つの確定された場所に出現し、“確定”した状態になります。

このように、不確定な状態から確定した状態に変わる過程は、「波動関数の収縮」と言います。

観察された瞬間に分裂する世界

しかし当時、ヒュー・エヴェレットという物理学者は、このコペンハーゲン解釈と全く異なる解釈を提唱し、その論文で博士号を取得しました。この解釈は、「多世界解釈」と言われています。エヴェレットが思うに、波の形として存在している粒子が、観測されたその瞬間に起きたことは、「波動関数の収縮」ではなく、「世界の分裂」という事です。どういうことかと言うと、粒子は観測される前に、同時にいくつかの重ね合わせた状態で存在していますが、その粒子が観測された瞬間に、世界が無数に分裂し、分裂されたこれらの世界は、それぞれの粒子が分裂したそれぞれの世界で確定した状態になっているということです。

この解釈が提唱された当時、ほぼ全ての物理学者たちに批判されました。これにより、エヴェレットはメンタルが保てなくなり、物理学の世界から離れてしまいました。しかし半世紀が経った今、この理論を受け入れる物理学者が多くなってきており、超弦理論や量子宇宙論の多くの研究者はエヴェレットの理論に沿って物事を考えているようです。

多世界解釈の延長線にある考え方として、この世界は常に人々の観測行為や異なる判断で分裂しているということです。例えば、今この投稿を見ているあなたが、「投稿を閉じて寝ようかな、どうしようかな」と思った瞬間にでも、投稿が閉じられた世界と閉じられていない世界に分裂したのかもしれません。衝撃的な内容ですよね。でもまだですよ。4つ目のパラレルワールドが待っています。

4つ目のパラレルワールド

上記でご紹介した3つのパラレルワールドは、全て同じ物理法則を持っています。しかし、その他に存在する無数のパラレルワールドは、必ずしも全て同じ物理法則を持っているというわけではありません。あるいは、もっと根本的な存在である数学でさえ異なっている宇宙が存在しているのかもしれません。

その宇宙の中では、1+1が3になるかもしれません。このような数学自体が異なっている世界が、4つ目のパラレルワールドです。このような宇宙はまだパラレルワールドと呼んでもいいのかは分かりませんが、もし多世界解釈やこれらのパラレルワールドが本当に存在しているのであれば、この世界と私たち人間という存在の本質は一体何なのでしょうか?私たち人類がこの世界の真相を解き明かす日はやってくるのでしょうか?これらの問題を明らかにしたパラレルワールドも存在しているのでしょうか?

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