【明晰夢】潜在意識を通じて全てを見通す方法とは?

生命体の不思議

集合的無意識。夢を通じて過去と未来を見通す方法とは。真実の目へようこそ。

はじめに

夢とは一体何なのか?科学、哲学、宗教など、人類は昔からあらゆるアプローチを試み、その答えを探り続けてきました。古代の人々は夢を超自然現象とみなし、自分たちの宗教や文化における神々と関連づけていました。それらは今日に至るまでの夢を用いた占いの根源でもあります。現代に入り、神経生理学や心理学などの分野でも夢を対象とした研究が盛んになっています。医学的には、夢は「レム睡眠」(REM)という睡眠状態にあるときに見られる脳活動の一種と定義されています。このレム睡眠というのは、眠りながら眼球が素早く様々な方向に動く現象であり、その間、身体はリラックスし一時的な麻痺状態になっています。この状態が観察されれば、その人は恐らく夢を見ているだろうと判断できます。一方、心理学では、夢に対する解釈はより深く複雑なものです。特にオーストリアの心理学者、そして精神科医でもあるジークムント・フロイトによる『夢判断』は、彼の夢に関する研究結果がまとめられた著書で、人間の潜在意識を描写した著名な作品です。フロイトは、夢に関する研究から非常に興味深い結論を導き出しただけではなく、人間の意識に隠された1つの大きな秘密、後にカール・ユングが提唱する「集合的無意識」という概念につながる知見をもたらしました。この「集合的無意識」は、人間の無意識の深層に存在する、個人の記憶や経験、さらには時間と空間をも超越した領域です。それは一体どのような存在なのか?その発見は夢とどのような関係があるのか?なぜ夢を通じて過去と未来を見通すことができると言われているのか?今回は、夢の秘密について見ていきたいと思います。

ぜひ、最後までお付き合いくださいね。

潜在意識

1899年、オーストリアの精神科医フロイトは自分の夢の記録から、夢に関する一連の研究をスタートしました。長年の研究の結果、彼は、夢は人間の精神活動の一種であり、そのような精神活動は普段気づくことができない部分にある潜在的な意識によって引き起こされていると考えました。そこでフロイトは、具体的に人間の意識を分類することにしました。これを氷山に例えると、水面の上に出ている部分が私たちが自覚するいわゆる「意識」です。私たちが思考している時、活動している時に、自分が誰で何をしているのかを知り、さまざまな物事を感知できます。これらの思考や感覚は全て、水面の上にある「意識」という部分が担当しています。一方、水面の下にあるのが「前意識(pre-conscious)」です。私たちは日常的に活動している時、「前意識」の存在に気づくことができませんが、「前意識」は常にさまざまな記憶を呼び覚ますことができます。

例として、今から2つの質問をしてみます。1つ目、「苦手な科目は何ですか?」、2つ目、「初恋の人の名前は何ですか?」、このように尋ねられた瞬間、あなたの脳に保存されている一部の記憶が蘇ったはずです。また、「車のエンジンをかける手順はどのようなものですか?」と聞かれると、あなたの脳に保存されたそれに関連する知識がすぐに呼び起こされます。ほとんどの場合、私たちはこれらの記憶や知識をいつも考え続けているわけではありません。しかし、それらの情報が必要となった時、大抵の場合は苦労することなくすぐに浮かび上がってきます。なぜこのようなことができるのでしょうか。

水面のすぐ下にある「前意識」は1つの巨大な情報の保管所のような存在で、自分自身が経験したことや学んだ知識を保存しています。特定の条件が引き金となり、「前意識」に保存されている特定の記憶が、水面に顔を出した「意識」の部分に取り込まれます。そうすると、取り込まれた情報が感知され、その記憶や知識に関する思考が始まります。思考が終わると、やがてこれらの情報は再び「前意識」に戻り、次に呼び起こされるまでそこに留まります。つまり、「意識」と「前意識」は相互に繋がり、情報を自由にやり取りすることができます。ここまでの内容に関しては既にご存じの方も少なくないでしょうし、知識としては知らなくても、日々生活している中で当たり前に起こっていることなので、直感的に理解できるかと思います。

無意識

しかし、フロイトの発見はそれだけではありません。彼は、人間の意識にはもっと深い部分が存在すると考えました。それは水面の下に隠されている巨大な氷山の本当の姿を示唆しています。フロイトはこの部分を「無意識(un-conscious)」と呼びました。「無意識」は「前意識」や「意識」とは隔たっており、私たちは通常、「無意識」の存在をまったく感じることができませんが、それでもその「無意識」は私たちの思考や行動に影響を与えることがあります。例えば、恋人の名前を呼ぼうとしたのに、なぜか元カノの名前が口から出てしまったとき。これは、「無意識」の部分に保管されている情報が水面に浮かび上がり、「意識」の部分に影響を与えた結果です。また、知らず知らず鼻歌を歌っていたという経験は、皆さんも覚えがあるのではないでしょうか。これも、「無意識」の働きによる結果です。

では、これらの内容は夢とどのような関係があるのでしょうか?フロイトは、人が眠り、脳が一時的に活動を休止したとき、「無意識」の部分に保管されている内容が水面に浮かび上がることがあると考えました。これらの情報が浮かび上がると、脳はこれらを処理し始め、その結果、私たちはそれを夢として見るようになります。これらの研究成果に基づき、フロイトはさらに、患者の「無意識」部分に入り込み、そこにある精神的な傷を見つけ、その傷を治療することで、さまざまな心理的な疾患を治すことができると考えました。

この「無意識」に入り込む方法というのは、つまり「催眠術」です。フロイトは長い間催眠術の研究を行っていましたが、なぜか途中で研究をやめてしまいました。彼が研究を中断した理由ははっきりと公開されていませんが、後に言われるようになったことには、フロイトは人間の意識に関する何らかの大きな秘密、彼が公開することを恐れるほどの秘密を発見したのではないかという説があります。彼はこれらの秘密を永遠に封印するつもりでしたが、これらの研究成果はもう一人の心理学者、カール・ユングの関心を引きつけました。

集合的無意識

ユングは長年の研究を経て、次のような結論にたどり着きました。「意識は水面に浮いている氷山ではなく、海底にまで根を下ろす島である」。人々の、水面の上にある「意識」、水面の下にある「前意識」、さらに深いところにある「無意識」は、実は島全体のごく小さな一部に過ぎません。最も大きいものは、全ての“島”と結びついている海底部分です。つまり、全ての人類の意識は、この海底部分を通じて繋がっているのです。もしくは、全ての人類の意識は、この巨大な海底部分から生まれた、とも言えます。ユングはこの海底部分を「集合的無意識」と名付けました。「集合的無意識」は、全人類が持つ意識の根源であり、生きている人、亡くなった人、さらにはまだ生まれていない人までもが、この「集合的無意識」を共有しています。

例えば、生まれたばかりのまだ母乳を飲んだことがない赤ちゃんは、母乳の匂いを嗅ぐと異常なほど興奮します。もう少し成長すると、肉を食べたことがなくても、焼いた肉の匂いを嗅げば大量の唾液を分泌します。ユングは、これらは赤ちゃんが「集合的無意識」の情報を通じて母乳や肉が美味しいものであると知ることができたのだと考えました。

さらに、人間だけでなく動物たちも「集合的無意識」を持っています。例えば、生まれたばかりの子猫は、誰に教わることもなく自分の排泄物を埋めます。これは、猫科の動物が何百万年もの進化の中で「糞で自分の居場所が暴かれる」と学び、その生存の知恵が全ての猫科動物の「集合的無意識」に保存され、共有されているためです。ただし、動物に比べて、人類の「集合的無意識」はさらに複雑で、動物たちの生存経験のようなものに加えて、人類が創造した全ての知識、芸術、記憶なども含まれています。これは巨大な情報のデータベースのようなもので、誰もが無意識のうちに自分自身の経験、知識や記憶を「集合的無意識」に保存しています。ときに催眠療法を受けた患者が自分の前世を見たと主張することがありますが、ユングの理論によれば、これはその人が「集合的無意識」に入り、他人の記憶を見たことによる結果です。

このように、「集合的無意識」は神聖な領域で、決して侵されてはならない大事な場所です。それを理由として、フロイトは催眠療法の研究を途中で止め、後に催眠術の禁止をも主張したとも言われています。心理学者によって提唱された学術的な見解とは言え、「集合的無意識」という理論は非常に神秘的に聞こえます。しかし、歴史を遡ってみると、「集合的無意識」から情報を引き出すことができたとされる人物は何人もいます。

以前の動画でもお話しましたが、ニコラ・テスラは何かについて考えをめぐらせたり、何らかのアイデアがひらめいたりすると、彼の頭の中に具体的なイメージ、もしくは物体の内部構造や輪郭が鮮明に浮かび上がると言っていました。さらに、彼のいた時代を超えた様々な理論や考え方も、常に彼の頭から湧いてくるそうです。この能力のおかげで、ニコラ・テスラは数多くの不思議な発明を実現しました。

また、同じく以前の動画で登場したラマヌジャンという数学者も似たような能力を持っています。1887年に生まれたインドの天才数学者のラマヌジャンは、まともな数学の教育を受けたことがないにもかかわらず、4,000個近くの公式を生み出しました。彼のこれらの公式は、複雑な数学的概念や未知の数学的領域を開拓するものであり、後の数学者たちに多大な影響を与えました。中でも特に現代の人々を驚かせたのは、ラマヌジャンが書いたこちらの公式です。

この公式は、ブラックホールのとある性質を完璧に反映したものです。ただ奇妙なことに、ラマヌジャンが生きていた時代には、ブラックホールはまだ発見されておらず、その概念さえも確立されていませんでした。彼の数学的洞察がどのようにして未来の発見であるはずのブラックホールに適用され得るのかは、未だ大きな謎となっています。ラマヌジャン自身が語るところによると、彼の全ての数学的発見は夢の中でヒンドゥーの女神ナーマギリによって啓示されたものだということです。ニコラ・テスラとラマヌジャンのこれらの不思議な能力から考えてみると、彼らはもしかしたら、自覚的もしくは無自覚に「集合的無意識」に保存されている情報を引き出せたのかもしれません。

では、これらの話は果たして本当に研究する価値のあるテーマなのでしょうか?それともただの都市伝説の領域にとどまる話なのでしょうか?ここからは、現代の研究成果と僕の個人的な意見を交えて、お話ししていきたいと思います。

過去と未来を見通す方法

私たちを構成するすべての原子や電子は、宇宙を誕生させたビッグバンから生じています。これらの物質を構成する基本要素は、特定の方法で情報を保存、もしくは運搬することができるという可能性が示唆されています。ある理論では、時間と空間が誕生した時、あるいはそれらが誕生する前から、この宇宙に存在する全ての情報は既にコード化され、ある媒体に記録されていたと考えています。我々人類のすべての知識や発見、文化、芸術などは、これらのコード化された情報に基づいて生まれたものです。

このすべての情報を記録しているこの媒体とは、以前の動画でも触れた「アカシックレコード」です。ここではアカシックレコードについての説明は割愛しますが、興味のある方はぜひそちらの動画もご覧ください。

要するに、ニコラ・テスラやラマヌジャンだけではなく、私たち誰もが、深層の意識領域に入ることができるのかもしれないのです。その手段の1つが、「夢」だと考えられます。多くの科学者や芸術家は、そのアイデアの鍵となるひらめきを夢から得たと証言することが少なくありません。例えば、アインシュタインの相対性理論の1つの重要なひらめきは彼の夢から来ています。化学者のアウグスト・ケクレも、ベンゼン環の構造を研究する最中、原子たちが環状構造に並んでいるという夢を見て、それがベンゼン環の環構造の解明につながりました。ですので、ある意味、夢を見ることは我々人間の知識や認識の境界を広げる非常に貴重な行為とも言えます。しかし、私たちの普段の夢はほぼ全て意味のない混沌としたものです。一体どのようにして、普段得ることができない高度な価値ある情報を、ラマヌジャンたちのように夢を通じて効果的に得ることができるのでしょうか?ここで紹介するのが、皆さんも一度は耳にしたことがあるであろう、「明晰夢」です。

夢を見ている最中に、自分が夢を見ていることに気づき、夢の内容を自由自在にコントロールするという経験は、もしかしたら体験したことがある方もいるかもしれません。明晰夢というのは、そのような夢のことを指します。しかし、これは基本的にたまたま偶然にしか起こらない現象で、映画『インセプション』のように、いつでも明晰夢を見ることができ、夢の内容を思いのままに変えていくことは、普通は不可能です。その上、朝起きた後、私たちは夢を見たこと自体は覚えていても、その内容を思い出すことができないという現象にも度々直面します。まるで私たちの脳には夢の内容を忘れさせるような機能があり、目覚めた後の世界が現実であるということを認識させようとしているかのようです。しかし、もし通常の思考能力を保ちながら夢を見ることができれば、映画『インセプション』のように夢を完全にコントロールし、さらに夢を通じて「集合的無意識」に入ることさえ可能になるのかもしれません。極まれに、このような状態に入った人の実例が報告されることもあります。

アメリカの心理生理学者であるStephen Labergeは明晰夢の科学的研究を専門としています。彼の研究によると、午前5時頃に、つまり目覚める直前に、人は明晰夢を見る可能性が最も高いとされています。この時、脳は無意識の混沌とした状態から徐々に蘇って、勝手に日中考えていた事柄について思考し始めます。このような状態の中、普段なかなか答えを見つけられない問題の正解が見つかるというケースを、Labergeは研究によって発見しました。

そしてもう1つ発見したパターンは、夢の中にいることに気づき、夢の内容をコントロールし始めるというものです。それを経験した被験者の報告によると、明晰夢の中で、自分が空を飛んだり、水中で呼吸したり、月に上陸するなど様々なことができました。そしてこれらの体験はすべて、現実世界と変わらないリアルさが感じられていたそうです。興味深い話の一つに、水中で呼吸している時の感覚は、普段空気を呼吸する時とは全く異なる感覚だったと報告されたケースもあります。これはもしかすると、「集合的無意識」を通じて、母親の子宮に包まれ、羊水の中でへその緒から与えられる酸素によって呼吸していたときの記憶が蘇ったか、人類の先祖である海洋生物が水中で呼吸していたときの感覚を追体験したか、その二つを想像することができます。

この線で考えると、明晰夢を見ることは認知の境界を広げる「初歩的な」手段、そして明晰夢を通じて「集合的無意識」に入ることは認知の境界を広げる「上級の」手段、さらに「集合的無意識」を通じてアカシックレコードに入ることは、認知の境界を広げる「最強の」手段なのかもしれません。では、まずは初歩的なところから考えてみるとして、自発的に明晰夢を見る方法はあるのでしょうか?

ドイツ、フランクフルト大学の臨床心理学者のUrsula Vossも、明晰夢について研究している一人です。Vossの研究チームは、明晰夢の経験がない健康な成人27名を採用し、数回に渡って彼らの睡眠を観測しました。眠りに就いてから、被験者の急速眼球運動、つまり夢を見始めたことを確認した後、チームは被験者の前頭葉に微弱電流を30秒ほど与えました。様々な周波数の電流を与えた中で、40ヘルツが最も明晰夢を引き起こすことができるという結果が得られました。そして、Vossはまた別の研究で、明晰夢を自発的に見る訓練を受けた6名を調査したところ、明晰夢が起きている間の前頭野から30〜40ヘルツの脳波が発生していることを明らかにしました。これらの実験から、脳波が40ヘルツ付近にある場合、明晰夢を見る確率が大幅に上がることが分かりました。しかし、皆さんが明晰夢を見るために装置を購入し、毎晩頭に装着して脳に電気刺激を与えるという方法はあまり現実的ではありません。そこで、ここでは先ほど登場したStephen Labergeが提案した明晰夢を見る方法をご紹介します。

この方法には5つのステップがあります。

1、5時30分にアラームをセットし、その時刻に目覚める。

2、目覚めた後、先ほど見た夢をできるだけ細かく思い出すよう努力する。

3、再び眠りにつく準備を始める。その間、「もうすぐ夢を見る」と自分に暗示をかけ続ける。

4、すでに眠ってしまったふりをし、身体を動かさずに、「先ほどの夢の中に戻った」と自分に暗示をかける。

5、眠りにつくまでステップ3とステップ4を繰り返す。

このような訓練を継続すれば、一般の人より明晰夢を見やすくなり、意図的に明晰夢を見ることができるようになる確率が上がります。しかし、これは「集合的無意識」に入ることを意味するわけではありません。明晰夢を見ることは、「集合的無意識」に入るための初歩的な前提条件に過ぎません。実際にそこにたどり着いた人は、おそらく非常に少ないでしょう。なぜなら、先ほどもお話ししたように、私たちの脳には、「集合的無意識」に入ることを阻止する機能が存在しているように思われるからです。

現実と夢、そして私たちの脳、これらについてまだ解明されていない謎が数多くあります。夢の中で私たちが感じるさまざまな感覚は非常にリアルで、現実世界と何ら変わらないと思うことも少なくないでしょう。夢と現実はどちらも脳が情報を処理するプロセスであると捉えれば、夢の中のリアルさと現実世界のリアルさは、本質的には区別することができないと言えそうです。言い換えると、夢と現実は、脳の認識と判断によるものに過ぎず、そこに境界はないのかもしれません。

それでは、今日もありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました