宇宙文明のレベル分け -カルダシェフ・スケール
私たちがいる天の川銀河には、生命居住可能領域にある惑星の数が、400億個もあるという計算結果があります。さらに宇宙には、天の川銀河のような銀河が数え切れないほどあります。この無限大に近い数字をベースに計算すると、宇宙には他の知的生命体がいないはずはありませんし、地球文明が宇宙初の知的文明である可能性もゼロに近いと考えられます。
近年では、「宇宙人はいるか?」という疑問から、「どうやって宇宙人を探すか?」という疑問に変わりつつあります。もし数億年単位で存在する文明があれば、彼らの科学技術はどれほど進化したのか、想像するだけでもぞわっとしますよね。
ニコライ・カルダシェフという天文学者も、同じようなことを考えていました。彼は、長い年月を掛けて発展した文明がこの宇宙に存在していると推測し、宇宙文明のレベル分けをやってみました。彼によると、どんな宇宙人であろうと、どんな体をしているであろうと、文明の発展に必要なものはエネルギーとのことです。生命を維持するために必要ですが、文明を存続させるためにも科学技術を発展させるためにも、莫大なエネルギーが必要です。つまり、より多くのエネルギーを生み出せる文明ほど、より高い文明レベルにあるといえます。そこでカルダシェフは、文明がどれほどのエネルギーを消耗しているのかを数値化にし、それを指標として宇宙文明のレベル分けをしました。これが、カルダシェフ・スケールと呼ばれています。彼はレベル1から3までの文明しか定義しませんでしたが、その後他の研究者によって、レベル7まで拡張されました。この記事では、レベル1から7までの宇宙文明は、どれほど発展していて、どのような存在なのかご紹介します。
レベル0 赤ちゃん文明
- エネルギーの取得方法:居住している惑星にある天然資源を利用。少し進んだ文明は、木以外に、煤、石油、天然ガスなどの資源も利用
- 特徴:推進器というものがまだ誕生していない、もしくは、全ての推進器は化学燃料の燃焼によって推進力を得る
レベル0の文明は赤ちゃんのような存在です。カルダシェフ・スケールの計算方法は、秒ごとに生み出すエネルギーの量を指標として文明レベルを判定しています。レベル1の文明は、1秒間で生み出せるエネルギーは10の16乗ワット以上です。天文学者のカール・セーガンが、2018年の世界の総エネルギー消費量から計算した現代の地球の文明レベルは、カルダシェフ・スケールの0.72に相当します。このスケール値を0.1上げるためには、エネルギー量を10倍あげる必要があります。ですので、地球文明を0.72から1.0まで上げるためには、ざっくり見積もると、100年から200年ぐらいの時間が必要です。
レベル1 惑星文明
- エネルギーの取得方法:天然資源に依存せず、主なエネルギー源は原子力
- 特徴:地球文明がレベル1に達することができれば、核融合反応によってエネルギーを取得している。そのため、無限に近いクリーンかつ安全な核エネルギーが入手可能。この文明で使われるほとんどの推進器は、核エネルギーで推進力を得ており、太陽系のほとんどの惑星に有人宇宙船を送ることができる十分なエネルギーを供給可能。高度に発展した科学技術のおかげで、ガンやウィルス、感染症などの病もなくなり、再生医療の発達によって、ほとんどの臓器が再生可能。人類の平均寿命が大幅に伸び、居住エリアも地表のみならず、海と上空まで拡張。
レベル0.72の地球文明でも、原子力発電所で原子力を電気エネルギーに変換できていますが、これらの原子力発電所は、核分裂反応でエネルギーを得ています。核分裂反応は、エネルギーの変換率が低いだけでなく、放射性廃棄物問題、原発事故のリスクが高いなどの理由で、理想的な方法とは言えません。一方で核融合反応は無限に近く、太陽が何十億年も燃え続ける理由は、常に核融合反応が太陽の内部で行われているからです。ちなみに、レベル1の初期から後期にまで進化するのに、3,000年程度の時間が必要であると言われています。
レベル2 恒星文明
- エネルギーの取得方法:最寄りの恒星から直接取得
- 特徴:地球文明がレベル2に達することができれば、生活面におけるエネルギー問題が完全になくなり、貧困問題も解消。太陽系の全ての惑星に自由に行き帰りができ、宇宙移民も本格的に始動。再生医療技術は遺伝子レベルにまで発展し、体のどのパーツでも再生可能となり、寿命を限界まで伸ばす。
文明がレベル1の最終段階に発展すると、惑星規模の人工核融合反応によるエネルギーは、科学技術の発展に追いつかなくなります。そのため、直接恒星からエネルギーを取得するのが、もっとも効率的かつ現実的な方法になります。アインシュタインの助手、フリーマン・ダイソンという理論物理学者が、「ダイソン球」という人工構造物の概念を提唱しました。彼の推測では、文明が発展していくと、いずれかの時点で、必ず直接恒星からエネルギーを取得するようになります。考えられる1つの取得方法は、恒星を卵の殻のように覆うダイソン球です。ダイソン球で恒星を覆うことにより、恒星から放つほとんどのエネルギーを取得することができます。しかし、隙間なく恒星全体を覆うのは、非効率的かつ非現実的であることから、「ダイソン球」より、恒星の周りを回るダイソン・リングや、複数のダイソン・リングが集まったダイソン・スウォームのほうが実在する可能性が高いと言われています。地球文明がこのまま順調に進むことができるのであれば、今から10万年から100万年後に、レベル2に達すると言われています
レベル3 銀河文明
- エネルギーの取得方法:最寄りの恒星だけではなく、銀河にあるほぼ全ての恒星から直接取得
- 特徴:ワームホールを利用して銀河の中をワープしているが、そのワームホールを創造するレベルではない。この文明における生命体は、種族の寿命が既に限界まで伸ばされているため、ライフサイエンスという分野自体が終点を迎える。その他、反重力装置が登場し始める。
反重力技術は、乗り物だけではなく、惑星などの天体レベルにまで応用できます。先日投稿した「太陽に現れる巨大UFO」の動画や投稿にある、太陽の表面を自由に行き来できるこの謎の物体は、恐らくどこかのレベル3の文明による反重力装置の付いたエネルギー収集装置です。寿命を最大限まで伸ばすことに成功しましたが、次の目標は、意識を寿命のある肉体から取り出して不老不死を実現することです。しかし、レベル3は、まだこれを実現できません。カルダシェフは、レベル3が文明の頂点で、これ以上に発展することはないと言っていますが、他の天文学者は、これ以上に発展した文明の存在が十分に考えられると主張しています。
レベル4 宇宙(Universe)文明
- エネルギーの取得方法:超新星爆発による
- 特徴:このレベルに達すると、とうとう意識を肉体から解放させることに成功し、不老不死を実現。また、知恵の持つ生命体を作ることができ、多くのレベル0の文明は、レベル4の手によって創造される。
レベル3は、ワームホールを利用して銀河内で移動していますが、利用できるワームホールがどこにでもあるわけではなく、自由自在に移動するには、ワームホールを人工的に作る必要があります。しかし、人工ワームホールを維持するのに、銀河にあるエネルギーだけでは足りなくなります。これが、レベル4の文明が誕生するきっかけとなりました。
超新星爆発というのは、大質量の恒星が寿命の最期に起こす大規模な爆発のことです。超新星爆発が発生すると、一斉に強烈なエネルギーが周囲に放たれます。このエネルギーの総量は、恒星が一生をかけて放つエネルギーの量に相当するので、非常に効率の良いエネルギー源です。1つの銀河で40年に1回程度の割合で超新星爆発が発生するので、レベル4は数多くの銀河を転々と移動し、これらのエネルギーを吸収しています。
現在の地球上にある神話や宗教の中で登場する神と創造主は、実はレベル4の生命体のことを描写しています。「人類の起源について」の動画や投稿は、レベル4がどのように地球人を作ったのかをお話ししています。しかし、レベル4はまだ全知全能ではありません。彼らはここまで登って、やっと1つの事実に気がつきました。理論上にだけ存在していた多元宇宙論は正しい、この世界は1つの宇宙だけではない、と。
レベル5 マルチバース文明
- エネルギーの取得方法:ホワイトホール
- 特徴:この文明は宇宙にあるホワイトホールからエネルギーを集め、ほかの宇宙への扉を開くことがでできた。ここでやっと文明の頂点に立ったかと思った彼らだが、また新しい事実に気が付くことになった。自分たちが頂点に立ったのは、3次元の世界だけ、高次元にも生命体が存在していることを。
多元宇宙論が正しいことに気付き、ほかの宇宙にたどり着いたのが、マルチバース文明が誕生するきっかけです。今の宇宙からほかの宇宙に辿り着くのに、想像をはるかに超えた量のエネルギーが必要になります。そこで、彼らに目につけられたのは、ホワイトホールです。
ホワイトホールとは、ブラックホールと性質が真逆の、物質とエネルギーを放出し続ける天体のことです。ホワイトホールは、アインシュタイン方程式のブラックホール解を時間反転させた解によって、その存在が予言されました。現在の地球文明にとってはまだ理論上の存在ですが、レベル5の文明はホワイトホールの存在を発見し、そこからエネルギーを取得できるようになりました。計算上では、一つのホワイトホールが放つエネルギーの量は、銀河全体が持つエネルギーの量の約1,400万倍もあります。
レベル6 多次元文明
- エネルギーの取得方法:様々な宇宙にあるホワイトホール
- 特徴:この文明は、宇宙にあるホワイトホールから、無限大に近いエネルギーを集め、高次元の世界に進入することを可能にした。次元が1つ上がったことで新しくできることが何百倍も増え、例えば、過去と未来を自由に行き来し、因果関係を覆すことができ、まさに全知全能のような存在となる。しかし、ここで彼らは考えた。レベル0の文明たちは自分達の手によって作られた。では自分達とこの世界を作ったのは、一体誰なのか?
3次元以上の次元にも、生命体が存在することに気が付いたことが、多次元文明が誕生するきっかけです。3次元の中で生きている私たち人類は、仮に4次元に進入することができても、その世界に入った瞬間に体が壊滅されます。しかし、既に肉体を捨てており、意識体として存在しているレベル6の生命体にとっては、それは問題にはなりません。
レベル7 創造主文明
残念なことに、文明が発展できる頂点は、1つ手前のレベル6の多次元文明までです。レベル6は、創造主文明の存在に気付いてはいますが、彼らはどう頑張っても、レベル7に上がることはできません。創造主文明は、もはや文明ではなく、存在そのものです。この世の全ての物質、エネルギー、自然法則、空間、時間、次元を作り出したのがこのレベル7という存在です。彼らは神ではなく、神の神です。レベル0.7にある私たちは、レベル7がどのような存在なのかを想像する力さえ持っていないでしょう。
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