【宇宙人に出会えない理由】「フェルミのパラドックス」をめぐる最先端の仮説とは?

宇宙奇譚

フェルミのパラドックス、新たな答えがここに!

真実の目へようこそ。

宇宙人はどこだ?

60年以上にわたり、私たちは宇宙を見つめ、耳を澄ませてきました。その目的は、この広大な宇宙に存在する者が私たちだけではないという何らかの兆候を探すこと、すなわち地球外知的生命体探査です。私たちが宇宙における唯一の生命体であるという考えは、科学的な発見が進むにつれて、より疑問視されるようになっています。

観測可能な宇宙には約2兆の銀河が存在し、それぞれ平均して1億個の恒星を抱えています。中には1兆個の恒星を持つ超巨大銀河もあり、私たちの銀河系だけでも1,000億から4,000億の恒星があります。これらの恒星の周りには、想像を絶する数の惑星が存在しており、その中には私たちの太陽系に似た複雑な惑星系も含まれているかもしれません。ここで浮かび上がるのが、フェルミのパラドックスとして知られる「沈黙する宇宙」の謎です。

なぜ私たちはまだ宇宙文明からの接触を受けていないのか?進んだ文明が数多く存在するはずなのに、なぜ彼らからの何らかの信号やメッセージを捉えることができないのか?科学者たちはこの謎に対する答えを見つけるために、様々な仮説を立てています。その中には、人類の未来や宇宙の他の文明に関する驚くべき理論も含まれています。以前の動画では「フェルミのパラドックス」に関するいくつかの従来の仮説を紹介しました。

今回は、新しい発見や研究がもたらす、さらに興味深い仮説をご紹介したいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいね。

フェルミのパラドックス

「フェルミのパラドックス」とは、宇宙に無数の星が存在するにもかかわらず、地球外知的生命体の存在を示す明確な証拠がまだ見つかっていないという、謎に満ちた現象、あるいはその矛盾を指します。無数の恒星の周囲には、生命が存在可能な環境を持つ惑星が多数存在すると推測されています。その中には、地球と似たものや、より大きな「スーパーアース」と呼ばれる惑星も含まれているかもしれません。このような背景から、理論的には私たちの銀河系は知的生命体であふれていると考えられます。

しかし現在のところ、宇宙文明が存在する証拠は一つも見つかっていません。ここで生じる矛盾が、「宇宙人はどこだ?」というフェルミのパラドックスの内容です。我々にもたらされた1つの大きな疑問は、例えばワープ・ドライブのような先進的な技術を駆使する極めて高度な文明が、一体どこに存在しているのかということです。このパラドックスに対する最近の見方として、いくつかの立場があるようです。その中には今までとまったく別の視点から得られた答えを示す研究者もいる一方、そもそも、フェルミのパラドックス自体、パラドックスではないという可能性までも指摘されています。

沈黙仮説

SF映画であれば、宇宙空間で光速を超える瞬間通信を描いたシーンをよく見ることができますが、人類が現段階で把握している物理法則は、そのようなことを許しません。情報を伝達するもっとも速い手段である光や電磁波は、この宇宙の上限速度の毎秒約300,000キロメートルで移動しています。もちろんこれは非常に速いのですが、それでも宇宙規模での移動を考えると十分なスピードとはまったく言えません。

例えば、地球に最も近い太陽系外惑星であるプロキシマ・ケンタウリに、電磁波でメッセージを送る場合、そのメッセージが届くのに4.2年、返信が地球に戻ってくるのにさらに4.2年、合わせて約8年半の時間が必要です。

これほどの時間差があると、両者の間でまともな会話は成立しません。これはまだ最寄りの太陽系外惑星の話です。さらに離れた場合、場所にもよりますが、そこにメッセージが届くまでに、数百年もしくは数億年が必要です。極端な話、地球からのメッセージが届く頃には、相手の文明はすでに消滅している可能性さえあります。

また、星の分布のモデルを用いた生命の存在可能性に関する研究によると、宇宙文明が存在したとして、彼らが送信した電磁波信号は、私たちの銀河系のわずか1%の領域にしか届かないということが判明しています。逆に、地球にいる現代人類の送る信号が地球外知的文明に届くためには、彼らがちょうどその信号を受信できる場所にいることが必須条件となるだけではなく、その信号を彼らが受け取るのは、最短でも1,500年後、長ければ、数十万年後になる可能性もあるということです。つまり、私たちが知的文明の痕跡を発見できず、この宇宙が沈黙している理由は、ただ単に宇宙が大きすぎるからだということです。上限速度である光速を使ったとしてもお互いの存在を発見できないのに、宇宙船などで別の文明が営まれている場所にたどり着くのはさらに不可能なことです。

最後の者

この仮説は、私たちがこの銀河系における初めての文明、もしくは最後の文明である、という仮説です。まずは私たちが「最初の者」であるという仮説について、一見すると、私たち人類が天の川銀河の初めての知的文明であるとすれば、凄いことではないかと感じるかもしれません。しかし、この仮説が主張しているのは、次のようなことです。

私たち人類は初めて技術的に進んだ文明を築いた存在ではありますが、銀河系全体の尺度と宇宙スケールの時間で見た場合、現在の私たちの技術レベルはまだかなりの初期段階にあるため、他の知的生命体が誕生する前に、技術的に未発達な状態のまま人類は絶滅する可能性が高いと考えられます。つまり、人類が他の高度な文明と出会う機会を持つ前に、我々自身が滅亡してしまうかもしれないということをこの仮説は示唆しています。

一方、逆の可能性もあります。それは、私たちが宇宙に残された「最後の者」だという仮説です。この理論は、人類以外の知的文明は過去に多数存在していたものの、現在は全て消滅してしまったかもしれないという可能性を示唆したものです。もちろん「最初の者」と「最後の者」というこの二つの可能性に人類文明が当てはまる確率は極めて低いですが、これらの理論が本当に言いたいのは、宇宙スケールの時間において、他の文明の出現と存在が、地球人類の存在と完全に時期がずれている確率は非常に高く、同様に、あらゆる知的文明どうしで、その出現と存在の時期が被っている確率は非常に低い、ということです。

限界仮説

アメリカの天体物理学者マイケル・ハートによるフェルミのパラドックスの解釈も非常に興味深いものです。彼は、「他の知的生命体がここにいないのだから、彼らは存在しないのだ」という一見シンプルな結論を出しました。ただ、この理屈は実に深いものです。この理論に基づくと、文明が星間航行の技術を発達させた後、他の恒星系の植民地化や、銀河系内の広がりは、非常に速い速度で展開していくはずです。

マイケルの計算によると、人類のいる天の川銀河の場合、わずか65万年以内には銀河系の大部分がそのような文明によって探索され尽くされると考えられています。天の川銀河が約136億年前に誕生したことを考えると、他の先進文明が地球に到達するのに十分な時間があったはずです。ですので、太陽系に他の文明の痕跡が見つからない現状は、そのような文明が存在しないことを示唆しているのかもしれません。

そして、さらに一段深く、そのような文明が存在しない理由が何なのかを掘り下げると、1つ考えられる理由として、文明にとって星間航行という技術はほぼ実現不可能なものであるのかもしれません。例えば、技術的な制約、資源の限界、航行に必要な膨大な時間、あるいは生命維持システムの複雑さなど、星間航行が実現不可能な理由はいくらでも考えられます。もしくは、そもそも高度な知能を持つ生命の進化が非常に珍しい事象であるなら、この二つの相乗効果が確率を限りなくゼロに近づけてしまうので、星間航行ができる文明の存在はほぼ否定されるでしょう。

持続不可能仮説

人類文明の歴史を振り返ると、多くの国や文明が誕生、成長し、最終的には崩壊していることがわかります。同じく、宇宙文明も同じような運命をたどるのかもしれません。この理論には2つのシナリオがあります。1つ目は、文明が大きくなりすぎていることに気づき、他の星への植民を止めるパターンです。そうでもしなければ、資源の枯渇、倫理的な課題、文明内部の分裂など、様々な新しい問題が文明を終焉に向かわせます。これに気づいた文明は植民をやめ、活動範囲を制限しますが、それに気づかない文明は、過度な自信を持ち、自らの窮状を認識せず、指数関数的に成長し、絶え間ない植民のエネルギー需要が持続不可能になるまで他の世界を植民化し続けます。それを止めるような行動を起こさない場合、彼らは回帰不能の状態に達し、文明はそこから完全な崩壊を迎えます。

天文学者でSF作家のカール・セーガンも似たような見解を持っており、銀河を通じた指数関数的な人口増加は持続不可能であると指摘したことがあります。ですので、それに気づいた文明はおとなしく自分の居場所にとどまっている一方、それに気づけなかった文明はすでに崩壊しているため、その結果、知的文明による宇宙航行や植民の痕跡を見つけることができないのだと、この理論は考えています。

単独文明仮説

最後の可能性として、単純に他に誰もいないということを想像してみるべきかもしれません。つまり、フェルミのパラドックスはパラドックスとして成り立たないということです。先ほど挙げたいくつかのシナリオは、何らかの理由で私たちは彼らとコンタクトが取れないのだという理屈ですが、宇宙文明自体は存在することを前提としています。

しかし、この前提が間違っていると主張する研究者も少なくありません。アメリカの天文学者のフランク・ドレイクが厳密な手法である「ドレイクの方程式」を用いて、この宇宙に存在する知的文明の数を検証したところ、観測可能な宇宙には数兆個の文明が存在するという結果が得られました。ただ、一部の研究者は、このドレイク方程式では生命の出現の可能性が過大評価されていると主張しています。ある研究チームがドレイク方程式にいくつかの修正を加えて再計算した結果、「観測可能な宇宙には他の知的生命体がいない可能性がかなり高い」という結論に達しました。具体的には、彼らの研究によると、私たちの銀河系に人類以外の知的生命体が存在しない確率は53%~99.6%の間であり、観測可能な宇宙全体で見た場合、その確率は39%~85%の間であるとされています。これは、私たちが宇宙で孤独である可能性がかなり高いことを示唆しています。この計算が成り立つ場合、フェルミのパラドックスは成立しなくなります。つまり、宇宙人という存在しないものと出会えないのは当たり前で、何もおかしいことではないのです。

また、確率は非常に低いですが、たとえ宇宙のどこかで文明が存在しているとしても、彼らは「グレート・フィルター」というものと戦わなければなりません。生命は進化の過程で、いくつかの大きな壁を越えなければなりませんが、このグレート・フィルターというのは、どんな文明においても、越えられない壁が存在するということを指します。文明がこの壁とぶつかり、頓挫する時は、文明が破滅する時でもあります。

具体的にどのような壁かというと、例えば、最初の壁として、生命が形成できる環境を持ち、かつ生命活動を維持し、言わば居住を可能とするような惑星自体の存在が必要ですし、その惑星上に生命が発生するというイベントが起こる必要があります。仮にとある惑星で生命が誕生したとしても、その生命たちが簡単な生命体から高度な生命体に進化できるかどうかが、もう1つの壁になります。

地球における生命体は、簡単な形から複雑な形にまで進化するのに、十数億年もかかりました。この時間の長さは、この壁を超えるのがどれほど難しいかを示しています。次に、仮に複雑な形にまで進化したとしても、高度な知能を彼らが獲得するかどうかはもう1つの大きな壁です。スティーブン・ホーキング博士が思うには、生命の誕生より、高度な知恵の誕生のほうがよほど難しいそうです。この要素を修正されたドレイク方程式に加えて考えると、人類以外の知的文明はこの宇宙に存在しない可能性が高いという結論はある程度の説得力を持つようになります。

今回の「フェルミのパラドックス」についての探究は一旦ここまでとしますが、私たちはこの広大な宇宙において、完全に孤独なのかもしれませんし、あるいはまだ見ぬ知的生命体が存在するのかもしれず、そのどちらもまだ否定できません。しかし、このパラドックスが示しているのは、人類がまだ理解していない宇宙の真理が多く存在するのだということです。私たちの探求はこれからも続きます。

それでは、今日もありがとうございました。

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