【寄生虫】人口の1/3は「マインドコントロール」によって「自由意志」を失っている

ミステリー
今回のポイント
  • 人類と動物をマインドコントロールしているものは何なのか?
  • そのマインドコントロールはどのような仕組みで働いているのか?
  • マインドコントロールされた人間はどのように変化していくのか?

はじめに

私たち人間にとって、最も大切なものはなんでしょうか?健康、お金、家族と答える人は多くいると思いますが、これら以上に1人の人間にとって重要なものがあります。それは、「自由意志」です。

映画に登場するゾンビのように、自分の自由意志を失った“歩く死体”になるのは、ある意味死よりも怖いことではないでしょうか。「ゾンビは空想の存在であり、現実世界ではその存在はあり得ない」と誰でもそう思っているでしょう。

しかし、「マインドコントロール」によって、自身の自由意志が失われているケースが動物界においては実在しています。生物の頂点に立った人類でさえ、一部はそのマインドコントロールによって、性格や行動パターンが大きく変化しました。異なる人種や国民性の違いでさえ、そのマインドコントロールの結果だと言われています。人類と動物をマインドコントロールしているものは何なのか?そのマインドコントロールはどのような仕組みで働いているのか?マインドコントロールされた人間はどのように変化していくのか?答えを知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

“ゾンビアリ”

話はタイの熱帯雨林に生きている1種の蟻から始まります。この蟻の正式名称は「CAMPONOTUS LEONARDI」です。この名前を知っている方は少ないと思いますが、彼らのもう1つの名前は有名です。それは、“ゾンビアリ”です。

なぜこのような名前が付けられたのかと言うと、彼らの一部は、「オフィオコルディケプス」属の真菌によってマインドコントロールされており、完全にゾンビ化されているからです。

これらの蟻は普段は木の上で活動していますが、巣を変える時や危険を感じた時には、地面に降りて別の木に移動します。この地面に降りて他の木に移動する短い間で、蟻たちは地面にある真菌の胞子を踏みます。

蟻の体内に侵入する胞子

蟻の体に付着した胞子は、酵素を分泌し、蟻の体に小さい穴をあけます。その穴から、蟻の体内に侵入し、血液の中で繁殖を始めます。最初の1週間においては、蟻はほぼ異常を表しませんが、体内にある真菌の数が一定のラインを超えると、その蟻は自分の体を制御することができなくなります。

もっと正確に言えば、この時の蟻は通常通り動くことはできますが、それらの行動は全て蟻自身の意思によるものではなく、真菌にコントロールされた結果です。

ある特定の条件下にて葉に嚙みつき、留まる

体の制御権を失った蟻の行動はどのようなものなのでしょうか。まず木を離れて地面に行きます。あてもなく彷徨っているように見えるこの時の蟻ですが、低い木を見つけた時は必ず登り、その木の北側にある葉に強い力で噛みつき、そのままそこに止まります。この時の蟻が選んだ葉に共通しているのは、木の北側にあること、地面からの距離は25cmほど、湿度は94から95、温度は20から30度ほどです。

実はこのような環境は、蟻の体内に侵入した真菌の胞子にとって、最も成長しやすい環境となります。仮に蟻がこの時に死んだとしても、顎を開閉する筋肉の繊維は既に真菌によってばらばらにされているので、蟻は口を開くことができません。ですので、蟻は葉を噛み続けることになります。

感染を広げる真菌

それから数日後、蟻の頭部から茎が伸びてきて、そこから胞子が放たれます。地面に落ちたこれらの胞子は、近くを歩いている他の蟻に付着し感染を広げていきます。このように、真菌は蟻に寄生し、彼らの行動をコントロールすることによって自身の繁殖を行います。

真菌がどのようにして宿主の蟻をこのようにコントロールできるのかについてはまだ完全に解明されていませんが、寄生虫による似たようなマインドコントロールは、カニ、カタツムリなどの他の種においても起きています。これらの種は寄生虫にコントロールされた場合、自ら天敵の前に現れたり、天敵の注意を引いたりする行動に出ます。当然その結果、彼らは天敵に食べられてしまいます。

なぜ寄生虫が宿主を捕食させようとするのかと言うと、その天敵の動物の体内に入れば、寄生虫自身の繁殖効率が上がるからです。つまり、寄生虫たちは宿主の行動をコントロールすることによって、自身の存続を保っています。

では、宿主のマインドをコントロールできるこれらの寄生虫は、どこまでのレベルの動物を制御できるのか?実は生物界の頂点に立った人類でさえ、彼らにコントロールされているのです。

ネコ科動物の腸内に寄生するトキソプラズマ

最も成功している寄生虫だと言われている「トキソプラズマ」

「トキソプラズマ」という寄生虫は、最も成功している寄生虫だと言われています。彼らはほとんどの恒温動物に寄生することができ、人間に関して言えば、人口の30%~35%はトキソプラズマに感染しているという調査結果があります。

ご存じの方もいると思いますが、妊婦がトキソプラズマに感染した場合は、流産もしくは胎児に障害を残すなどの恐れがあることから、即治療を受ける必要があります。しかし一般の人はトキソプラズマに感染しても、大した症状が出ないので、妊娠中でなければ、トキソプラズマの感染に気を付ける必要はない、というのが今までの認識です。

しかし最近の研究によって、冒頭でご紹介した蟻に起きているマインドコントロールは、トキソプラズマに感染した人間にも起きているということがわかりました。

ネコ科動物の腸内でのみ有性生殖を行うトキソプラズマ

まず、トキソプラズマは幅広い動物に寄生することができます。しかし彼らが有性生殖を行える場所は、ネコ科動物の腸内だけとなります。ですので、他の動物は彼らにとっては中間宿主にすぎず、それらの中間宿主を通してネコ科動物の体内にたどり着くことがトキソプラズマの最終目標です。その目標を達成するために、トキソプラズマもマインドコントロールという恐怖の手段を使っています。

例えば、トキソプラズマに感染したネズミは、普段なら絶対にあり得ない行動に出ます。

研究者たちは野生のネズミを実験室に入れて、その部屋に猫の尿を数滴落とします。そうすると、野生のネズミは猫の尿の場所に興味を示しませんし近づくこともしません。この時の野生のネズミのストレスに関連するホルモンの分泌量が普段より大きく上がります。

しかし、野生のネズミにトキソプラズマに感染させてしばらくしてからまた同じ実験を行うと、ほとんどのネズミは猫の尿を避けることなく、その一部は長時間尿の近くにい続ける現象が観察されました。さらに、これらのネズミは未知の物に対する好奇心が強くなる傾向も観察されました。通常、同類が倒れたり死んだりした時、彼らはその死体に近づかないように行動します。これは、そこに危険な要素があるかもしれないと思っているからです。

感染するとリスクを伴う行動を好むようになる

しかしトキソプラズマに感染したネズミたちは恐れる様子もなく、同類の死体の周辺をウロウロしていました。長期間に渡って似たような実験を繰り返した研究者たちは、次のような結論を出しました。

トキソプラズマに感染したネズミは、リスクを伴う行動を好むようになった

これは食物連鎖の下位にいるネズミにとっては、非常に危険な行為です。では、なぜネズミが危険な行為に出たのかについて、研究者たちは次のような仮説を立てました。リスクを好むようになれば、ネズミは慎重に行動しなくなり、天敵の猫に捕食される可能性が大きく上がります。猫に食べられることによって、ネズミの体内に寄生しているトキソプラズマは最終宿主である猫の体内に侵入することができます。

つまり、ネズミの異常行動の原因はトキソプラズマによるマインドコントロールとなります。その仮説が正しいかどうかを調べるために、研究者はこれらのネズミを解剖して調査しました。トキソプラズマに感染した個体は、大脳皮質に拒絶反応が起きていた痕跡、普段より多く分泌されたドーパミン、恐怖を低下させる神経伝達物質などが発見されました。拒絶反応による炎症と腫れが冒険欲を抑える神経の働きを止めた可能性があり、大量のドーパミンと恐怖心を低下させる神経伝達物質がさらに冒険行動に拍車をかけたと推測されています。似たような現象はネズミだけではなく、ウサギなどの小動物においても観察されています。では次は、トキソプラズマによるマインドコントロールは、人間にも起きているのかを見てみましょう。

トキソプラズマにマインドコントロールされている人類

感染後に現れる特異な傾向

感染者は衝動性が高い等の傾向がみられる

2003年に行われた857名の成人を対象とした調査では、トキソプラズマに感染している人の衝動性、浪費癖と服従性に関する得点が、健康な人より明らかに低いことが分かりました。つまり、トキソプラズマに感染している人たちは、衝動性が高い、金遣いが荒い、ルールに縛られるのが嫌いという傾向が見られるということです。

さらに、2002年に、交通事故を起こした146人を対象とした調査では、これらの人の中でトキソプラズマに感染している割合が、同じ地域に生活しているランダムに選ばれた146人の一般人よりかなり高いことが分かりました。

さらに範囲を拡大して調査したところ、妊婦以外に大したリスクがないと思われているトキソプラズマは、交通事故、衝動行為による事故、自害などで、世界中で数十万人の命をなくしていることに関与している可能性が示唆されました。

なぜ人類をマインドコントールするのか?

しかし、宿主である人間を危険にさらすのは、トキソプラズマにとっては何のメリットもないはずです。ではなぜトキソプラズマはそのように人をコントロールするのか?

当時の人類は大型ネコ科の猛獣に捕食されていた

実は、現代社会の人間を危険行為に導くのは、確かにトキソプラズマにとっては何のメリットもありません。しかし数万年前もしくはさらに昔の世界においてはどうでしょうか?その当時の人類はまだ今のように食物連鎖の頂点に立っていません。彼らは常に捕食されるリスクがあります。その時の人間がトキソプラズマに感染すれば、先ほどご紹介したネズミのように、大型ネコ科の猛獣などに捕食される可能性が大きくあがります。

したがって、その人に寄生しているトキソプラズマはネコ科の体内に侵入することができます。では、ネコ科に食べられることがない現代の人類に、なぜトキソプラズマはまだ寄生し続けているのか?

ペットとして人類の近くにいる猫

それは、現代人類は猫をペットにしているからです。トキソプラズマに感染した人を調査対象としたある研究では、その人たちに様々な液体の匂いを嗅がせて、それぞれの匂いに点数を付けさせました。そのうちの1つは、希釈された猫の尿です。液体の正体を知らないにもかかわらず、被験者たちは、猫の尿に高得点をつけ、それを嗅いだ後でよい気分になったという人が多くいました。このような人の割合は、トキソプラズマに感染していない健康な人と比べてかなり高いことがわかりました。この結果は、トキソプラズマが宿主の人間に、猫を飼わせる確率を高めるために、その人のマインドに影響を与えていることを示唆しています。

さいごに

先ほど、人口の3割程度はトキソプラズマに感染していると言いましたが、フランスでは、トキソプラズマに感染している人の割合は、なんと85%程度と非常に高く、一方、日本では全体平均の3割よりは低いという調査結果があります。

もしかしたら、フランス人の奔放な国民性と、日本人の慎重な国民性は、トキソプラズマが原因かもしれませんね。人間の自由意思についての動画や投稿で、人間は実は自由意志を持っていないのではないかという見解をご紹介しました。今回の内容を踏まえて考えると、人の意志というのは、脳や神経細胞だけによるものではなく、人間の体にある全ての要素が総合された結果かもしれません。従って、この体の本当の「主人」は誰なのか?という質問の答えが分からなくなってきた気もします。

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