待ち受ける人類滅亡のシナリオ -最悪のシナリオを回避することはできるのか?

ミステリー

はじめに

人類という種族が誕生したのは、数百万年前だと推測されています。当時は、他の種族より優れたところもなかったようで、長い間、捕食される立場だった私たちですが、恐竜のように絶滅もしていなければ、高度な文明までも築くことができました。人類の一員として、どのような未来がこの種族を待ち受けているのかについては、皆さんも一度は考えたことがあるのではないでしょうか?隕石事件についての動画や投稿では、人類が何の災いもなく順調に発展した場合の未来を推測してみました。しかし、理想と現実の間にギャップが存在することは、誰もが知る事実です。これからは、人類の文明を退化させる出来事も起きるかもしれませんし、人類という種族を絶滅させる出来事まで起きるのかもしれません。今回は、後者の“人類滅亡のシナリオ”を見ていきたいと思います。少し重いテーマかもしれませんが、私たち次第で避けられるシナリオもあるかもしれませんので、暗い未来を迎えないための予備知識という意味でも、是非最後までお読みください。

隕石による絶滅

スティーブン・ホーキング博士

2018年に亡くなったスティーブン・ホーキング博士は、隕石の衝突が人類の最大の脅威だと考えており、常に次のようなことを言っていました。

「人類が永遠に生き残る唯一の手段は、宇宙移民だ。なぜなら、百万年という長いスパンで地球史を見た時に、恐竜を絶滅させたあの隕石事件が未来で起きる確率は100%だからだ」

しかし、ホーキング博士の見解の反対意見として、仮に恐竜を絶滅させた隕石事件が再び起きたとしても、高度な科学技術を手に入れた現代人類なら、種族の全滅は避けられるという説もあります。一体どちらの意見が正しいのか?太陽系で起きた1つの事件を見てみれば、答えが出てくると思います。

1994年、彗星による衝突事件が木星で起きました。衝突の過程は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡と木星探査機の「ガリレオ」などによって捉えられ、人類は初めて惑星と彗星の衝突現象を目の当たりにしました。これらの彗星は、1つの塊ではなく、多くの小さな彗星で構成された直径およそ10㎞の彗星群でした。その中の最も大きい彗星でも、直径はたった2㎞しかありませんでした。しかし、衝突は数日間も続き、一番大きな衝突は、地球と同じほどのサイズである直径約1万2000kmの衝突痕と、高さ約7500kmのキノコ雲を木星の表面で形成しました。今回の衝突事件で木星が受けたダメージはこれらの衝突痕だけではなく、惑星全体の環境も激変したと推測されています。もし同じ規模の衝突事件が地球で起きていたなら、言うまでもなく、現段階の人類が持っているどんな技術を以てしても、種族の絶滅という結末を避けることができません。

真実の目
真実の目

木星の質量の318分の1しかない地球では、このような規模の衝突事件はとても起きにくいと考えられます。しかし、地球自体が破滅される可能性は低いとは言え、ある程度の規模の衝突であれば、地球の環境を大きく変えてしまうのです。6600万年前、恐竜が絶滅した理由は、衝突自体ではなく、衝突後に地球で起きた気候などの激変が原因だと言われています。ですので、環境の変化にとても弱い私たち人類にとって、隕石による衝突は非常に危険なのです。

では、現在の人類の技術はどこまで隕石の衝突を防げるのかと言うと、NASAが立ち上げたATLASという「小惑星地球衝突最終警報システム」は、地球のそばを通過する小惑星や隕石などの小天体を、数週間から数日前に検出することができるそうです。しかし、隕石事件の動画や投稿でお話した「チェリャビンスク州隕石事件」のサイズの隕石を、ATLASが検出できるのは、衝突の1日前が限界です。この隕石は原因不明の理由で空中爆発したおかげで、死者を出すような甚大な被害には至りませんでしたが、もしこれが地表と衝突した場合、360万人の人口を持つチェリャビンスク州が全滅したと推測されています。これをATLASが1日前に検出できたとしても、たったの1日では、どの国も、300万人以上の住民を完全に避難させることは不可能でしょう。しかしなにより、そもそもチェリャビンスク州に落ちてきたその隕石は、どの機構もそれを事前に検出することができませんでした。 また、現在の人類が所有しているどんなミサイルでも、隕石を破壊したり、隕石の軌道を変えたりするほどのレベルにはまだ達していません。従って、とても絶望的な結論にたどり着きますが、恐竜を絶滅させた隕石事件が再び現在の人類を襲ってきた場合、私たちは待つこと以外、何もできません。

もちろん、私たち人間の100年間の寿命の中で、このような隕石事件が起きる確率はかなり低いので、個人個人はあまり心配する必要はありませんが、人類という種族の視点から長いスパンで見れば、文明を破滅させるほどの隕石事件は、未来において確実に起こります。それが起きる前に人類は文明レベル2以上に達していたら生き残ることができるでしょうが、レベル2に達する前にそのような隕石がやってきたら、人類はそこまでとなります。文明レベルの動画や投稿もしていますのでそちらをチェックしてください。

超新星爆発による絶滅

宇宙に興味がある方なら、「超新星爆発」という言葉を聞いたことがあるかと思います。これは、大質量の恒星が寿命の最後に起こす大規模な爆発のことです。実は恒星がこの形で存在できているのは、1つのバランスに依存しています。どういうことかというと、恒星自身の重力によって、恒星全体が内側に強く引っ張られています。しかし同時に、恒星の内部で起きている核融合反応が生み出したエネルギーは、恒星全体を外側へ押し出しています。この2つの力が、絶妙に同じ程度にあるため、恒星はこのバランスによって落ち着いた状態にあります。しかし、核融合反応の原料である、恒星の中心部にある水素が使い果たされると、恒星は外層部分にある水素を使って核融合反応を続けます。この時、恒星全体を外に押し出す力のほうが強くなり、恒星の形を保つバランスが崩れてしまいます。その結果、恒星の大きさは本来の数百倍にまで膨らみます。この時の恒星は、「赤色巨星」と呼ばれます。

真実の目
真実の目

ちなみに、太陽は50億年後に赤色巨星になり、そのサイズは本来の250倍ぐらいにまで膨らむと推測されています。その時、地球は大きくなった太陽に飲み込まれて消滅してしまいます。もちろん、人類がその時にまだ地球上に存在しているのであれば、その時の人類の最期になりますが、今回お話する人類の滅亡のシナリオはそれより早く訪れるものです。

赤色巨星になった恒星の核融合反応はさらに進んでいき、そこからいくつかの段階を経て、核融合反応に使える全ての原料がなくなると、恒星に存在していた力のバランスが完全に崩れてしまい、恒星には内側に引っ張る力しか残らなくなります。その結果、恒星の外層部分にある全ての物質は核心部分に引っ張られます。この時、物質が核心部分に向かう速度は光速の4分の1にまで達します。このような高速で核心部分と衝突した瞬間、反動によって強い衝撃波が生じ、とてつもない規模の爆発が起きます。この爆発が、超新星爆発です。この時の衝撃波は恒星にあるほとんどの物質を周りの宇宙空間に飛ばし、放たれた光はその銀河の果てから果てまで届きます。さらに、強烈な放射線も周囲に一斉に放たれます。これらの宇宙線の威力はとてつもなく凄まじいものであり、その超新星爆発の規模にもよりますが、3000光年先の惑星にまで影響を及ぼすこともあり、その惑星に生命体が存在するのであれば、壊滅的なダメージを受ける可能性があります。

ここで、「もしかしたら?」と思っていたら、残念ながら答えは「はい」です。近い将来、地球の近くで超新星爆発が起きるのです。それを起こすのは、オリオン座にある“ベテルギウス”という恒星です。ベテルギウスは地球から約550光年離れており、その明るさはとても強く、私たちは肉眼でこの星を観望することができます。また、ベテルギウスの大きさも非常に大きく、その半径は太陽から木星までの距離と同じくらいあります。質量に関しても、太陽の20倍ほどあると計算されています。様々な観測データに基づいた計算結果から、ベテルギウスは寿命の最後の段階にいることが判明しました。つまり、この恒星はいつ超新星爆発を起こしてもおかしくない状態にあります。2019年10月ごろ、ベテルギウスの明るさは突然大きく下がり始め、超新星爆発を起こしかけているのではないかと天文学者たちは思っていましたが、2020年に入ってから明るさは徐々に元に戻りました。減光の原因はまだはっきりと分かっていませんが、ベテルギウスが不安定な状態にあるのは間違いないということから、今日にまでその動向に注目が集まっています。一部の天文学者は、ベテルギウスは既に超新星爆発を起こしており、その光と宇宙線は地球に向かっている最中ではないかとも考えています。

では、ベテルギウスの超新星爆発の影響が地球に届いた場合何が起きるのでしょうか?まず、空に1つの“青い太陽”が現れます。その明るさは我々の太陽よりは弱いですが、満月の明るさを上回ります。しかも昼でも夜でも見られます。これは2,3か月も続き、完全に空から消えるのに、数年間もかかるそうです。そして肝心の宇宙線についてですが、超新星爆発で生じたガンマ線が地球を直撃した場合、地球のオゾン層が破壊されます。それにより、宇宙から降り注ぐ有害な宇宙線が地表に降りてきます。これらの宇宙線に被爆した人類を含むほとんどの生物は、死滅します。しかし、これはあくまで超新星爆発のガンマ線が地球を直撃した場合の話です。もしベテルギウスから放たれたガンマ線が他の場所に向けて飛んだ場合、地球への影響はそれほど大きくないと考えられています。また、ベテルギウスの超新星爆発が起きるのは少なくとも10万年後になるという意見もありますので、現在の地球上で生きている私たちはあまり心配する必要はないでしょう。

宇宙人による破滅

我々が住んでいる天の川銀河だけで、生命居住可能領域にある惑星の数は400億個もあると推測されています。さらに宇宙には、天の川銀河のような銀河が数え切れないほどありますので、確率的に計算すると、宇宙には数え切れないほどの文明が存在しているはずです。それなのに、なぜか私たちはそのような痕跡を1つも見つけていません。このおかしな現象については以前の「フェルミのパラドックス」の動画や投稿で詳しく紹介しましたが、今回は、人類の滅亡に繋がるかもしれない1つの理論をご紹介したいと思います。

それは、「暗黒森林理論」です。この理論は、『三体』という世界でも有名なSF小説によって提唱されたものです。この理論によると、宇宙には数多くの文明が存在していますが、これらの文明はどれもそれぞれが自身の文明の発展を最優先事項としています。文明の発展には資源が必要となりますが、宇宙に存在する資源は限られています。ですので、どの文明もできるだけ多くの資源を確保しようとしています。それによって、他の文明の存在が、自身の発展を実現するための最大の障害となり、お互いが潜在的な敵となります。言ってみれば、この宇宙は “暗黒の森”のような空間です。森に生きている数多くの文明はそれぞれ、銃を携えた狩人のように、常に自分の気配を消しながら、周囲を警戒しています。お互いの存在を発見した場合、文明の違い、種族の違い、コミュニケーション方法の違いなどによって、お互いの意思疎通は非常に困難となることが想像できます。つまり、コミュニケーションを取れたとしても、相手が友好的な存在か、もしくは敵対的な存在かを判断することは非常に難しいのです。仮に相手が「自分には敵意はない」と主張したとしても、それが本当かどうかもわかりませんし、その逆もまた同じです。そう考えると、自分にとっては相手が、相手にとっては自分が危険な存在となります。お互いの理解ができない、この、必然的に疑いを持ち続ける状況で、少しでも相手の誤解を招くような行動をとれば、自分の文明が滅びることに直結する可能性もあります。そのような危うさの中で自分と異なる文明の存在を発見した場合の最善の手は、相手に気づかれる前に先制攻撃によってその文明を破滅させることで、脅威を取り除くことです。

宇宙にあるほとんどの高度な文明は、この理屈を理解しており、できるだけ自分の存在を隠して活動していますが、地球文明のような、身を隠さずに行動する文明は、いつか必ず他の文明に見つかり、襲われます。ちなみに、アメリカのコーネル大学の研究チームが2021年に科学誌『Nature』に発表した論文によれば、これまで地球から異星人に向けて発せられた電波をキャッチできる太陽系外惑星は29個あるという推測結果が出ています。ですので、地球の文明は既に異星文明に気づかれている可能性が十分にあります。もし他の文明が本当に“暗黒森林理論”の理屈に従って活動しているのであれば、地球がまだ襲われていない理由は、現在の地球文明はまだ脅威だと思われていないからだと思います。いつか人類の文明が地球以外、もしくは太陽系の外に存在している資源も利用できるようになれば、私たちはこの“暗黒の森”に存在している他の狩人の攻撃対象となる可能性が出てきます。

真実の目
真実の目

少し暗い理論ですが、これは大自然のルールをしっかりと反映したものです。遠い未来においてはSF小説レベルではなく、人類全体が真面目に対処しないといけない課題となるのかもしれません。

「Universe 25」による絶滅

実は、今までお話した隕石や超新星爆発などの大きなことが起こらなくても、そもそも人類は絶滅するように決まっている生物なのかもしれません。それを示唆したのは、1つの動物実験です。1940〜1970年代にかけて、アメリカの動物学者のジョン・B・カルホーンがマウスを用いて1つの実験を実施しました。実験内容をざっくり言うと、マウスたちに、広い空間、食料や水を無制限に与え、病気を予防し、天敵のいない環境で暮らすようにするとどうなるのか、というものです。マウスが3,480匹収容できる空間を、自由に行き来できる4つの部屋に仕切り、そこに4組のつがいのマウスを放ちます。つまり、“楽園”に住んでいるマウスたちの行動パターンとマウス社会の観察を行いました。マウスには「ネズミ算」という言葉があるように、身の危険もなく、食糧も豊富であれば、ネズミは旺盛に繁殖し、300日も過ぎると600匹以上に増加しました。そこからは、繁殖のペースはゆるやかになりましたが、次第に、オスのマウスが権力闘争を開始しました。

4つに仕切られた部屋のうち、強いオスが統治する、比較的人口密度の少ない快適な「富裕層の部屋」から、多くのマウスが密集する「貧困層の部屋」まで、部屋の密度にばらつきが生まれました。つまり、マウスの間に“格差”が生まれ始めたのです。富裕層の部屋では、メスによる子育てが熱心に行われ、子供の死亡率は50%にとどまっていますが、貧困層の部屋では、大きな変化が起こります。群れの中で攻撃的な行動を取り出すマウスがいる一方、人間で言えば“引きこもり”のようなマウスも現れました。彼らは繁殖もせず、エサを食べて眠り、毛繕いをするのみでした。また、子育て用の巣を作るスペースもないためか、子育てを放棄したメスのマウスも現れ、子供の死亡率は90%を超えました。さらに、同性同士で交尾するマウス、縄張りを守らないマウスなど、本来のマウスでは考えられない異常行動が目立つようになってきました。

実験開始から500日以上が過ぎると、最大2200匹にもなった個体数の増加はついに停止してしまいました。そしてここから減少に転じます。若いマウスは繁殖や縄張りにも興味を示さず、自分のためだけに生きるのみでした。その社会では高齢化が進み、子供は母親から攻撃され、巣から追い出されます。そしてエサが豊富にあるにもかかわらず、共食いが発生しています。与えられた環境条件は申し分ないのに、なぜか混沌とした地獄絵図が展開されていきました。そして920日目に最後の妊娠が確認されましたが、とうとう子供は生まれず、1780日目に最後のオスが死亡し、マウスの数は0になりました。実験は、その名前の由来にもあるように、スケールを変えながら25回行われましたが、やはり一定の数に達すると、数は増えなくなり、その後減っていき、必ず最後は0になってしまいます。

真実の目
真実の目

恐ろしいとも言えるこの実験結果は、人間社会の未来を示しているのではないかという意見が多く出ています。もちろん、人間とマウスは一概に比べたり当てはめたりはできませんが、格差社会、出生率の低下、若者の欲望の低下など、現代の人類社会においては、既に実験と似たような傾向が見られていますよね。

おわりに

人類は、社会を便利に、理想的にと目指していますが、この方向性は決して間違っているとは言いません。なぜなら、隕石や超新星爆発などの災いから逃れるためでも、科学技術を発展させないといけないからです。しかし、隕石、超新星爆発、異星人などの脅威を全て排除した、あのマウスたちが生きていた“楽園”を作り上げることは、私たちが向かっている道の途中にある1つの中継点にしかすぎないと思います。この道を進むと同時に、私たちが失った大切なものは何なのか?その答えを今からしっかりと考えれば、最悪のシナリオを回避することは、まだ間に合うかもしれません。

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